「語ること」で災害を風化させない試み…『カロクリサイクル』メンバーに聞いた
今年の7月28日に起こった熊本地震。10年前の16年4月14日、16日にも震度7の揺れが28時間以内に2度発生し、278人の尊い命が失われた。だが、新たな災害が起きるたび、我々の阪神・淡路大震災、東日本大震災の記憶は上書きされ、口にする機会も減っていく。災害を風化させない試みの一つが「語ること」。アーティストの瀬尾夏美さんは有志らと「カロクリサイクル」を設立し、記録を残す活動を行っている。
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「カロクリサイクル」のカロクとは、災禍を記録する「禍録」という意味が込められている。災禍の語りや記録の重要性を痛感してきた瀬尾さんは、著書「声の地層 災禍と痛みを語ること」(生きのびるブックス)で、〈語れなさ〉を強く嘆く。
「『伝承』について思いを馳せるようになったきっかけは、2011年に東日本大震災が起きたことです」
当時、東京芸術大学の大学院生だった瀬尾さんは、友人とふたりでボランティアへ。その旅路で岩手県陸前高田市に住む、バイト仲間の親戚のおばあさんのもとを訪れた。おばあさんは瀬尾さんに会うなり、せきを切ったように体験を語ってくれたという。
「彼女は自分より被災の程度が高い人たちに対して気を使いながら、話してくれました」
自分より当事者性が高い人たち(家族を亡くした、家が崩壊したなど)に対して、〈私の被害はまだマシな方だから〉と自分の気持ちを語れなくなり、そのことで苦しんでいるように感じた瀬尾さん。同じ被災者でも「語れなさ」を抱えている人がいることがわかった。
それ以降、被災後の町で生きる人たちの話を聞く日々が続いた。話してくれた人たちは「誰かに伝えてね」と託す。瀬尾さんは戸惑いながらバトンを受け取ったという。
「聞き手がいなければ、語りは消えてしまうのかもしれないと感じました。災禍は、生き残った人たちが語ってくれることでやっと伝わるもの。だから、聞き手がそばにいて、言葉にしてもらうという機会をつくることが大切だと思います」
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