「語ること」で災害を風化させない試み…『カロクリサイクル』メンバーに聞いた
30年前の阪神・淡路大震災から改善されていない
さて、今年の熊本地震の救済活動について、瀬尾さんはどのように感じているのだろう。
「避難所の映像やニュースから、かなり過酷な環境だっただろうと感じています。食べ物や物資が届かない、トイレが十分に使えないなど衛生面でのストレスもあったと思う。酷暑で車中泊を余儀なくされるケースもあり、亡くなってしまった方もいました。30年前の阪神・淡路大震災と比較しても、避難所の状況は全くと言っていいほど改善されていないのではないでしょうか」
30年前の阪神・淡路大震災の頃は、作家の小田実さんら文化人たちが「言葉」を駆使して市民運動を展開し、救済活動に乗り出した。そのおかげで復興支援に拍車がかかり、日本中が被災地を応援するという機運が高まった時代でもある(ボランティア元年)。
「ところが、今の日本は超高齢化社会となり、そうやって動ける人がいない。避難所の環境を変えるためにも、たくさんの市民の声が必要です」
地震以外にも、気候変動が加速する中で発生する災禍は年に複数回起こり得る時代に突入してしまった。被災者たちの立場がそれぞれ異なることも増えていき、自分自身が語れなくなることも生じるかもしれない。
「そんな時はまず、人の話を聞くことを勧めます」と瀬尾さん。
「語れなさを抱えているなら、まずは人の語りを聞いてみるといいのかもしれません。そうすることで、自分とつながる話が聞けるかもしれないから。そして、その話を語り継ぐなかで、自分自身の体験や心情も話せるようになるかもしれませんね」
つまり人と人とのコミュニケーションがさらに重要になっていくのだ。
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