「ツミデミック」一穂ミチ著│都市伝説を持ち出した女性の名前は…
「ツミデミック」一穂ミチ著
大学を中退して繁華街で居酒屋の客引きをしている優斗は、ある夜、ピンヒールにトレンチコート、そして金髪の「攻撃力の高そうな女」に話しかけられる。優斗のイントネーションから同郷の大阪出身だと気づき、声をかけてきたらしい。
誘われるまま、仕事終わりに一緒に飲みに行くと、愛人をして暮らしているという女は「井上なぎさ」と名乗り、地元のK駅に出る「踏切ババア」の都市伝説を持ち出し、優斗を驚かす。井上なぎさは中学の同級生の名だが、彼女は5年前に電車に飛び込み自殺している。踏切ババアは娘の幽霊に会うために現場に立つ、彼女の母親のことだからだ。(「違う羽の鳥」)
コロナ禍でギリギリまで追い込まれ生きる人々を主人公に描く短編集。第171回直木賞受賞作。
(光文社 924円)


















