阪神の人間模様は小説より面白い 江本孟紀「ベンチがあほやから野球ができん」の12時間後…
数年前のことになる。江本孟紀に講演を頼んだことがある。知人の会社の新人たちに江本節を聞かせてもらいたい、という依頼だった。
東京の江本の事務所に電話を入れると、すぐ折り返しがあって、内諾をくれた。
上野の池之端の会場に江本が登場すると、新人たちはぽかんとしていたが、古手の社員たちは「うわあ」とはしゃいでいた。
「ベンチがあほやから野球ができん」のあの騒ぎはもう、年季の入った社員たちだけの思い出のような気がした。
しかし、エモやんの話術はさすが。生きてきた過去の熾烈な経験話に場内は沸いた。
現役時代の彼のことを我々は「エモやん」と呼んだ。
南海時代、監督・野村克也を相手に「あんたの(リードが悪いからその)せいで負けたわ」とか、阪神時代の監督・中西太に向かって「おれの息が切れているのに、なんで交代せんのや。あほとは野球できんわ」とグラブを思いのたけダッグアウトに投げつけた、あの威勢のよさ、荒くれはすでに跡形もなく、壇上でニコニコしていた。


















