感染症
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【マダニ媒介新興感染症】世界各地で新たなウイルスが続々と発見されている
近年、マダニが媒介する新興ウイルス感染症が話題になっています。 「オズウイルス」は、2018年に愛媛県でマダニの一種タカサゴキララマダニから世界で初めて見つかりました。昨年は厚生労働省が、茨城県内において心筋炎で死亡した70代...
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論文と現実のギャップ…「サブグループ分析」で目の前の個人に近い人で解析
前回と同じ「論文結果と個人のギャップ」についてである。両者のギャップは埋めがたい。目の前の個人にぴったりする情報があることはまれである。ギャップがあるから論文に意味はないというのは簡単だ。しかし、意味がないと言ってみたところで、目の...
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サル痘改め「エムポックス」 日本でワクチンの臨床研究がスタート
サル痘改め「エムポックス」の感染がじわじわと広がっている。10月3日発表の感染症発生動向調査週報速報データ第38週(9月18~24日)によると、新たに2件増えて今年の累積件数は197件。9月29日までだと206件となった。 ...
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なぜ帯状疱疹ワクチンの対象年齢が、50歳以上から18歳以上に拡大されたのか
チクチクピリピリといった痛みの後、水ぶくれを伴う赤い発疹ができる帯状疱疹。これを予防する帯状疱疹ワクチンはこれまで50歳以上が対象だったが、対象年齢が一気に拡大し、条件付きとはいえ18歳以上になる。なぜ? 愛知医科大学皮膚科学講座教...
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【アンチバイオグラム】感染症の治療に役立つ情報が分かる
前回、細菌の培養検査についてお話ししました。では、「アンチバイオグラム(Antibiogram:抗菌薬感受性率表)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? ある施設において、一定期間に分離された微生物の各種抗菌薬への薬剤感...
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インフルとコロナのワクチンは同時に接種しても問題ない? イスラエルの研究チームが報告
インフルエンザワクチンの接種は毎年10月ごろに開始されます。今年は新型コロナウイルスワクチンの令和5年秋開始接種と時期が重なるため、インフルエンザワクチンと新型コロナウイルスワクチンの同時接種を検討される方も多いでしょう。 ...
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論文世界と現実とのギャップを考える…人種より個々のばらつき
今回はバングラディッシュで行われたランダム化比較試験を例に、論文世界と現実のギャップについて具体的に検討したい。 この場合、いくつかの問題がある。決定的なのは論文の参加者と論文を元に実際の判断をする目の前の個人はそもそも別で...
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インフル患者が急増…重症肺炎を避けるため肺炎球菌ワクチンを今すぐ打つべき
インフルエンザが流行している。通常は12月から3月にかけてがインフルエンザの流行シーズンだが、今年はまだ暑さの残る9月から患者が急増。前週と比較しての患者数が、流行の目安を大きく上回っている地域もある。インフルエンザにも十分に気をつ...
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【培養検査】病原体が特定されれば効果的な治療ができる
感染症では、原因となる細菌や真菌などの病原体を特定するために、「培養検査」を行う場合があります。患者から採取した試料(血液、尿、喀痰など)を培養し、病原体の増殖や特性を調べるのです。 培養検査では、病原体の抗菌薬に対する薬剤...
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研究結果と個人の実感の差「予防のパラドックス」はなぜ起きるのか
引き続き、研究結果と個人のギャップについて取り上げていこう。マスクの問題に戻れば、「マスクが感染予防に有効」という論文であっても、その実情は、マスクを着けて感染しなかった人、マスクを着けずに感染した人だけではなく、マスクを着けたにも...
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【ギョウチュウ】多くで検査廃止も九州や沖縄はいまも保有率が高い
当連載の読者の多くは、小学生の頃に「ぎょう虫検査」をやった経験があるのではないでしょうか。朝、排便前に特殊なノリがついた青いセロハンを肛門に貼り付け、ギョウチュウ(蟯虫)が産んだ卵がないかを確認する検査に提出する、というものです。 ...
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2回目以降の新型コロナワクチンは前回と同じ腕に接種すべき?
新型コロナウイルスワクチンが開発された当初、2回にわたって接種することが推奨されていました。一般的には、1回目と同じ腕に2回目のワクチンを接種します。しかし、2回目のワクチンを1回目と反対の腕に接種した場合、ワクチンの有効性にどのよ...
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【サナダムシ】サケやマスの生食で感染 症状が軽く排便時に気づくことが多い
「日本海裂頭条虫」をご存じでしょうか。別名である「サナダムシ」という名称なら、聞いたことがある方も多いかもしれません。 サナダムシは、成虫の体長が最大で10メートル、体幅1.5センチにもなるヒトの寄生虫です。サナダムシという名...
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アメリカで新たなEG.5対応コロナワクチンが認可され接種スタート
コロナ感染がじりじりと上昇する中、アメリカでは新たなワクチンが認可され、9月中旬から接種がスタート。しかしどれほどの人が接種するかは未知数です。 FDA米国食品医薬品局は9月12日月曜日、ファイザー社とモデルナ社に対し、オミ...
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高齢者にとって安全性の高いコロナワクチンは? ファイザーとモデルナを比較
新型コロナウイルスワクチンの安全性について、高齢者を対象とした研究や、異なるワクチン同士を比較した研究は限られていました。そんな中、高齢者に対する新型コロナウイルスワクチンの安全性について、ファイザー社製のワクチンとモデルナ社製のワ...
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人種差を問題にしつつ「動物データ」に納得する不思議さ
これまで「情報の正しさ」という問題を繰り返し取り上げてきた。その中でマスクについての情報を「ランダム化比較試験」「メタ分析」と呼ばれる研究結果で見てきた。情報そのものの正しさを最もよく保証するからだ。しかし、そうした情報でさえ、多く...
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【フィラリア症】日本では根絶したが全世界では1億人が感染
「フィラリア症」といえば犬の感染症で有名です。糸状虫(フィラリア)によって引き起こされる寄生虫の病気で、犬糸状虫は犬と蚊の体を行ったり来たりしながら増殖します。 感染した犬を蚊が吸血することで、蚊の体内にフィラリアの幼虫(ミク...
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中国ではゼロコロナ政策中止から2カ月で約190万人の超過死亡…3大学の詳報資料などから推計
新型コロナウイルスの感染拡大を、都市封鎖などの強権的な手法を用いて抑え込もうとする政策は「ゼロコロナ政策」と呼ばれます。特に中国では、徹底したゼロコロナ政策が実施され、新型コロナウイルス感染症による超過死亡率(本来想定される死亡率を...
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インフルエンザは熱より「咳」が診断のポイント 感染症専門誌で報告
今年の夏の風邪の特徴は、新型コロナと共に、インフルエンザも流行していることです。そのほとんどがA型インフルエンザですが、真夏の流行というのは、これまでに例のない異常事態です。 インフルエンザの典型的な症状と言えば、急な発熱と...
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わからないことを受け入れる「ネガティブ・ケイパビリティー」こそが大切
今回はこれまでの議論を一度整理してまとめてみたい。内容的にはかなり専門的であるし、統計学的な考え方が基礎にないと理解が困難だろう。ただ問題は専門的な知識でもなく、統計学的な考え方でもない。それらを武器に考え続けることができるかどうか...
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年間1万6300人超ペース「梅毒」が引き起こす「目」の病気…視力障害の引き金に
相変わらず梅毒感染が止まらない。国立感染症研究所が8月29日に発表した感染症発生動向調査週報速報33週(8月14~20日)によると、報告された梅毒の新規感染件数は168件、年初からの累計は9482件となった。前年同期の累計は7525...
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【ステノトロフォモナス・マルトフィリア】“切り札”として使われる抗菌薬が効かない要注意の耐性菌
「ステノトロフォモナス・マルトフィリア」──。なんだか舌を噛みそうな名前ですが、こんな名前の細菌が存在します。「Steno(わずかな)tropho(栄養で生きる)monas(種族)の中で、malto(麦芽)に親和性のある(philia...
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コロナ禍では職場での感染予防策が恋愛活動を活発化させる
一般的に、家族と時間を過ごすことは、孤独感をやわらげ、精神的な健康状態を良好に保つと考えられます。そのため、孤独を強く感じる独身者では、恋愛関係を築くことが精神的な安定にとって重要な要素といえるかもしれません。 新型コロナウ...
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なぜ、感染症と高血圧の治療効果を同一に語ってはいけないのか
ここまで、情報そのものの正しさの問題を取り上げてきたが、その情報の正しさは常にある一定の集団についての結果であって、個別に起こることとの間には大きなギャップが存在する。これまで取り上げてきたマスクの情報も、いずれも集団を対象にした研...
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【ESBL産生菌】ペニシリンなどの抗菌薬が効かない耐性菌が日本でも増加中
「耐性菌」というと、どのような菌を想像しますか? 有名どころでは「MRSA」でしょうか。最近は「PRSP(ペニシリン耐性肺炎球菌)」や「BLNAR(β-ラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性インフルエンザ菌)」なども話題となっています。 ...
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NYではコロナ感染者が再び増加傾向に…オミクロン派生型「EG.5」(別名エリス)とは?
ニューヨークではコロナ感染者が再び増加傾向にあります。 同時に、オミクロン派生型のEG.5(別名エリス)が新たなウイルスとして取って代わろうとしています。 ニューヨーク州保健局が今月2日に発表したデータによると、コロナ感染者...
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「一言主義」で失われる正しい情報…わかりやすい真実なんてない
「マスクは個人の判断で」という今、その判断に少しでもお役に立てれば、そんなつもりで書いている。しかし読者の中には一向にお役に立てていないというのが現実かもしれない。 実際の研究結果が示すものは、マスクは「有効」、あるいは「無効...
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【はやり目】効果的な薬がないため自然回復を待つしかない
「流行性角結膜炎」は主にアデノウイルス(8、19、37型)による眼感染症です。このウイルスはとても感染力が強く、昔から俗に「はやり目」と呼ばれています。発症はどの季節でも起こりますが、夏に多い傾向があります。年齢による発症の差はあまり...
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鼻をほじる習慣がある人は新型コロナに感染しやすい?
新型コロナウイルスは、感染者が咳やくしゃみをしたときに発する、ウイルスを含んだ飛沫によって感染します(飛沫感染)。また、ウイルスを含んだ飛沫を触った手が鼻や口の粘膜に触れることでも感染することがあります(接触感染)。 習慣的...
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新型コロナにかかりにくい体質がある ネイチャー誌に掲載
新型コロナの感染が再び拡大しています。クリニックでも毎日感染者を診断していますが、検査をすると家族全員が感染しているのに、1人だけ感染していても無症状、というケースにしばしば遭遇します。 お聞きしてみると、以前も感染したもの...