八王子実践・河本ロバート監督「ライブや家族旅行も、事前に相談があれば休ませます」
河本ロバート(八王子実践/西東京/40歳)
きょう9日に鳴門渦潮(徳島)と対戦する八王子実践は、春夏通じて初の甲子園。率いるロバート監督は同校OBで、亜大卒業後にドジャースとマイナー契約を結んだ経歴を持つ。徳島インディゴソックス退団後、2016年に母校のコーチとなり、19年に監督就任。専用グラウンドがなく、全体練習は実質2時間ほどという環境の中、自ら「営業」と表現する選手集めに奔走してきた。どうやって激戦区の西東京を勝ち抜くチームをつくったのか。
──本格的に選手勧誘を始めたのは、今の3年生の世代です。
「その1つ上の代から少しずつ動き始め、今の3年生から本格的に動き出しました。もともと総監督がいたため、私が前に出過ぎるのも違うのかな、と控えていたんです。その方が校内の役職に就いて野球部を離れたのがきっかけです。恩田コーチに『一緒にやってください』とお願いしたのも、そのタイミングです」
──環境面と実績面で選手勧誘には苦労しているのでは。
「いくら声をかけても、ほとんどの選手は強豪校へ行ってしまいます。でも、そこで諦めたら終わりです。寮がないので地元選手に絞り、何度も足を運びました。本当に営業ですよ。チームの雰囲気を知ってもらうために、体験会も開いています。この環境を承知で選んでくれた選手たちには、心から感謝しています」
──選手たちは「監督が同じ目線に立ってくれる」と話していた。
「野球だけでなく、高校生としての時間も大切にしてほしいと思っています。髪形は校則の範囲内なら自由ですし、ライブ鑑賞や家族旅行も、事前に相談してくれれば休ませることがあります。高校を卒業して親元を離れれば、家族と過ごす時間も少なくなりますから。ただし、大会直前に休むのは違いますし、嘘をつくのも駄目です。その線引きは、勧誘の段階から説明しています」
──けれども、今の3年生は10人も退部した。
「この代から本格的に勧誘をしていたとはいえ、全員がそうではありません。野球部がこれから変わろうとしている、そのことに入部してから気付いた選手もいたと思います。『この人数、このメンバーではレギュラーになれない。もういいです』と辞めた子もいました。『もっと楽しくできると思っていた』と言われたこともあります。野球が好きといっても、熱量はそれぞれ違う。自分が活躍できるから楽しい、という部分は誰にでもあると思うんです。全員に活躍の場をつくれれば一番ですが、環境が整っておらず、時間も限られている。できるだけ同じように練習させたいと思っても、どうしても練習量に差が出てしまう。そこは難しさを感じています」
──その限られた環境で、どのように激戦区・西東京を勝ち抜くチームをつくったのですか。
「まずは守り勝つしかないと考えました。私は投手出身ですから、投手がストライクとボールをしっかり投げ分け、打ち取った打球を内野が確実にアウトにする。捕手を含めたバッテリーを育て、ロースコアに持ち込むチームを目指しました。いい投手が育てば、それが次世代の投手集めにもなるという狙いもあります」
──投手力への手応えは。
「西東京大会は6試合で計13失点でしたが、日大鶴ケ丘戦の8失点は失策が絡み、完投した塚原の自責点はゼロでした。大会を通じた投手陣の自責点も2点ほどだったと思います。数字だけを見れば、投手陣の成績は甲子園出場校の中でもトップレベルではないでしょうか」
──甲子園出場によって、選手集めも変わるのでは。
「興味を持ってくれる選手は増えると思います。ただ、実際に施設を見れば、『この環境か』と二の足を踏むでしょう。甲子園は簡単な場所ではありませんし、今回だけで終わるのか、継続できるのかは分かりません。それでも、このチャンスをつかんだ以上、ここから先につなげていきたいと思っています」
(聞き手=杉田帆崇/日刊ゲンダイ)


















