著者のコラム一覧
名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

わからないことを受け入れる「ネガティブ・ケイパビリティー」こそが大切

公開日: 更新日:

 今回はこれまでの議論を一度整理してまとめてみたい。内容的にはかなり専門的であるし、統計学的な考え方が基礎にないと理解が困難だろう。ただ問題は専門的な知識でもなく、統計学的な考え方でもない。それらを武器に考え続けることができるかどうかである。何か結論を出すためではなく、結論を先送りにして、何がわかっていないか、何がわかっているのか、問い続けることである。

 このところの本連載では、コロナ感染に対するマスクの効果を検討した論文を例に、情報そのものの正しさについて検討してきたが、最も重要なことのひとつは、「正しさ」と言っても、正しいか正しくないかという二分法では決して語ることができないということである。ランダム化比較試験の結果であろうが、そのメタ分析の結果であろうが、あいまいである。

 統計学的に有意差があるかどうかの検討の際に標準的に使われる有意水準5%(「有意」とは「統計的に偶然とは考えにくく、意味があるものと考えられること」を指し、「有意水準5%」とは100回に5回以下しか起こらないまれな事象が起こったことは、偶然起きたことではないということにしようという意味)という基準で判断すれば、はっきりするように思われるかもしれない。しかし、そもそもその5%の基準も根拠があるわけでなく、あいまいな基準に過ぎない。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    佐々木朗希「スライダー頼み」に限界迫る…ドジャースが見込んだフォークと速球は使い物にならず

  2. 2

    永野芽郁「キャスター」視聴率2ケタ陥落危機、炎上はTBSへ飛び火…韓国人俳優も主演もとんだトバッチリ

  3. 3

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  4. 4

    風そよぐ三浦半島 海辺散歩で「釣る」「食べる」「買う」

  5. 5

    広島・大瀬良は仰天「教えていいって言ってない!」…巨人・戸郷との“球種交換”まさかの顛末

  1. 6

    広島新井監督を悩ます小園海斗のジレンマ…打撃がいいから外せない。でも守るところがない

  2. 7

    インドの高校生3人組が電気不要の冷蔵庫を発明! 世界的な環境賞受賞の快挙

  3. 8

    令和ロマンくるまは契約解除、ダウンタウンは配信開始…吉本興業の“二枚舌”に批判殺到

  4. 9

    “マジシャン”佐々木朗希がド軍ナインから見放される日…「自己チュー」再発には要注意

  5. 10

    永野芽郁「二股不倫」報道でも活動自粛&会見なし“強行突破”作戦の行方…カギを握るのは外資企業か