週間読書日記
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松井今朝子(作家)
1月×日 シェイクスピアに匹敵する大劇作家、近松門左衛門の没後300年に当たる今年刊行予定の一代記「一場の夢と消え」を「オール読物」誌で連載し、最終回の入稿を済ませたところで初回を読み返してみた。まず…
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道尾秀介(作家)
1月×日 去年、嬉しいことが2つあった。1つは、長年の構想を経てとうとう商品化した本格犯罪捜査ゲーム「DETECTIVE(ディテクティブ) X(エックス)」がトンデモなく売れてくれたこと。警察の捜査資…
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羽鳥好之(作家)
12月×日 友人のS君と恒例の忘年ゴルフ。毎年、ゲストを招いているが、今年はS君の夫人が参戦した。なかなかの腕前。いま夫婦でラウンドするのが流行のようだが、いい光景だなあと思う。 亡くなった伊…
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中野純(闇案内人)
12月×日 年内最後の闇歩きツアーの案内などを終え、宮沢賢治の童話に中野真典が絵を描いた「かしわばやしの夜」(三起商行 1650円)をじっくり楽しむ。謎の「画かき」に誘われて、夜の林に「前科九十八犯」…
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志川節子(作家)
12月×日 師走なのに最高気温20度って。何を着るかと、朝、考え込むことしばし。結局、秋に着ていたユニクロに落ち着く。50代おばさん、代わり映えしない毎日。 原田ひ香著「喫茶おじさん」(小学館…
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彩瀬まる(作家)
12月×日 朝、寒すぎて布団から出られない。でも仕事の締め切りはどんどんくる。今年は体調を崩しがちで、いろんな約束を後回しにしてしまった。うーうーとうなりながら這いずり出て、気合いを入れに近所のカフェ…
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香山リカ(作家・精神科医)
11月×日 北海道の山あいにある診療所で働き始めて1年半以上がたった。医者としてからだが動くうちに医療過疎地で働いてみたい、というのがかねてからの夢だったのだ。仕事はハードだが楽しい。もう1つの夢は、…
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森朗(気象予報士)
11月×日 最近、中高生を相手に気候変動や地球温暖化の話をする機会が多い。せいぜい10数年しか生きていないので、気候が昔と比べて変化した実感はないはずなのだが、地球温暖化や気候変動の知識がとても豊富で…
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本橋信宏(ノンフィクション作家)
11月×日 「エンドロール! 末期がんになった叶井俊太郎と、文化人15人の“余命半年”論」(サイゾー 1650円)を読む。 対談ホスト役の叶井俊太郎は異色映画の宣伝プロデューサーとして有名な人…
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茂木健一郎(作家・脳科学者)
11月×日 昨今の日本の、年齢で人を決めつけたり、世代間対立を煽るような風潮が好きではない。そんな論には、知性も人間性も足りないと感じる。 小林武彦著「なぜヒトだけが老いるのか」(講談社 99…
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タブレット純(歌手・タレント)
11月×日 もっぱら古本屋通いで、扉を開き真新しい紙の匂いを嗅ぐ近刊といえばお仕事上で出会う方々の謹呈本ばかりのような。 特に佐藤利明さんは、最もその著書を譲り受けることが多い方かと。昭和の芸…
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上野誠(國學院大學文学部教授)
9月×日 今井むつみ・秋田喜美著「言語の本質」(中央公論新社 1056円)を読む。スバラシイ。言語は、モノやコトを分類する記号だが、その背後に言語化されない情報があることを教えてくれる1冊。われわれが…
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増田晶文(作家)
9月×日 小さな庭で躍起になって揚羽蝶を追い払う。20数年に梅を植えた。可憐な花から甘酸っぱい芳香を漂わせた白梅。それが虫害で枯れてしまった。泣く泣く梅を伐り、代わりに植えた柑橘。膝丈ほどの幼木が愛お…
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今井むつみ(心理学者・慶応義塾大学環境情報学部教授)
10月×日 誰も行ったことがない場所に行き、誰もしたことがない冒険をして、誰も書いたことがない作品を書く。これが「イラク水滸伝」(文藝春秋 2420円)の著者高野秀行のモットーである。今回の探検は、イ…
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宮内悠介(作家)
10月×日 翌年に出す短編集の直しをやる。夕食後、文庫化した青木知己著「Y駅発深夜バス」(東京創元社 880円)を読む。聞くところ、表題作が伝説の短編らしい。読者への情報開示の順番、謎や伏線が鮮やかで…
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福島泰樹(歌人、絶叫ミュージシャン)
9月×日 毎月10日、吉祥寺のライブハウス「曼荼羅」で月例「短歌絶叫コンサート」を開始してから39年目の秋を迎える。月夜の晩もあれば嵐の夜もあった。ピアノの永畑雅人、頭脳警察のTOSHIこと石塚俊明が…
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高野秀行(ノンフィクション作家)
8月×日 7月下旬に私は「イラク水滸伝」(文藝春秋 2420円)という新刊を出したのだが、ほぼ同じ時期に、早稲田大学探検部の後輩で冒険家・作家の角幡唯介も新刊「裸の大地・第二部 犬橇事始」(集英社 2…
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黒木亮(作家)
8月×日 ギリシャやスペインが40℃超の熱波に見舞われ、山火事が起きたりしているが、ロンドンは毎日18~22℃で、肌寒いくらい。昔、友人のシリア人バンカーが「英国の夏は、スコットランドでコテージを借り…
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中島京子(小説家)
8月×日 8月だったので、新聞やネットで戦争関連の記事をいくつも読んだ。どなたかが、古井由吉さんの空襲体験について書いているものを読んで、なんとなく読みたくなって古井由吉著「半自叙伝」(河出書房新社 …
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吉川英梨(作家)
8月×日 去年、住み慣れた京王線沿線から中央線沿いに引っ越した。仕事柄自宅から出ることが少なく、沿線と言っても電車に乗るのは月に1、2回。まだ私は中央線をディープに知らない。 そんな中、本屋で…