いま国民は核心を突く人を欲していないのか

公開日: 更新日:

「ジャーナリストという仕事」斎藤貴男著(岩波ジュニア新書)

 本書は、もともと若者に向けて、ジャーナリストという仕事を紹介するために書かれたものだ。だが、私は、この本を広く国民に読んで欲しいと思う。それは、本書で著者が、ジャーナリズムとは何かという問題に、真正面から取り組んでいること。そして、もう一つは、そのジャーナリズムが、いま存亡の危機に立たされているという現実を知って欲しいからだ。

 多くの国民が、ジャーナリズムの危機自体を認識していない。例えば、ヤフーニュースの意識調査で、高市総務大臣が、政治的な公平性を欠く放送を繰り返した放送局に対して電波停止を命じる可能性に言及したことに関して、「メディアの萎縮をもたらす」と考えるかを聞いたところ、半分近い国民が「萎縮はない」と答えているのだ。私は萎縮どころか、服従に近い現実があると思うのだが、本書では、そうした状況も具体的事例に基づいて説明している。

 著者は、自身をジャーナリストのはしくれと謙遜しているが、私は日本のトップクラスのジャーナリストだと思う。膨大な資料を読み込み、当事者にインタビューし、深く考えて、問題の本質に切り込む。しかも、ジャーナリストの本領は権力のチェックだと確信しているから、権力に対して一切の妥協を許さない。権力者と酒食を共にし、そこで得た情報を垂れ流しにする大手メディアの記者とは、決定的にスタンスが違うのだ。だから、私はこれまで著者の発する情報を、確かなものとして受け取ってきた。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    目黒蓮不在のSnow Man、ラウールが"次期エース"へ台頭か「めめラウ」が与え合う影響

  2. 2

    元関取の豊山亮太さん 4年前に土俵去るも、老人ホームの介護士をしながら国家試験目指し猛勉強中

  3. 3

    「愛子天皇」阻止が直撃…高市内閣「支持率」暴落、「不支持」と逆転で首相も応援団も大焦り

  4. 4

    松尾雄治さん(1)ゴルフ場で意識を失う…「気が付いたら病院のベッドでした」

  5. 5

    東京維新が党の看板政策「身を切る改革」まさかの“廃棄“ あまりにもフザケた理由

  1. 6

    バナナマン日村が簡単に復帰できそうにない「もう1つの理由」…レギュラー11本抱える人気者のジレンマ

  2. 7

    W杯で横行する「偽ユニ」商売の裏側 一部アルゼンチン人が米国の超物価高で編み出したハイテク“錬金術”

  3. 8

    東大出身の小林政調会長は日本史を学ぶべき「2600年以上続く男系継承」は歴史なのか神話なのか…皇室典範改正で浮かんだ疑問

  4. 9

    松本人志"めちゃめちゃ癌"の心配される健康管理と伸び悩む「DOWNTOWN+」の今後

  5. 10

    安青錦が丸ごと吐露…相撲との出会い、日本語習得、「腹違いの兄貴」