多臓器不全で亡くなった脚本家・倉本聰さんが15年前の講演で語っていた独自の健康観
脚本家の倉本聰さんの命を奪ったのは、多臓器不全だった。享年91。その文字の並びを見るだけで厄介な状態であることは、医学的な知識がなくても容易に想像がつく。そんな多臓器不全は、決してまれな結末ではないという。
「多臓器不全とは、心臓や腎臓、肺、肝臓など生命活動に重要な臓器のうち複数が機能停止に至る状態です。倉本さんのような高齢者なら人ごとではなく、がんや感染症などによって引き起こされるのが典型で、糖尿病や肝臓病の状態が悪いこともリスクになります。心臓や肺が不全になれば息苦しいし、腎不全なら尿が出なくなる。いずれもつらい症状ですが、延命治療するとかえって苦しみます」
こう言うのは、医師で医学ジャーナリストの富家孝氏だ。そういわれてみると、ニュースになったケースをみても、多臓器不全で命を落とした人は珍しくない。
たとえば、2022年に亡くなった女優の島田陽子さんの死因は、大腸がんによる多臓器不全だった。亡くなる3年前に大腸がんが見つかり、入退院を繰り返していたものの、がんの進行が遅く、手術や抗がん剤などの標準治療を受けないことを選択。息を引き取る直前には、関係者とSNSで食事についてのやりとりをする元気がありながら、その日の大量出血をキッカケに容体が急変したと報じられた。69歳だった。同じ年には、さらに8歳年下の俳優の渡辺徹さんが急逝した。発熱や腹痛で都内の病院に入院して治療を受けたが、敗血症で帰らぬ人になった。富家氏が言う。
「敗血症は、体のどこかで発症した感染症が体全体に広がり、重要な臓器に障害を起こす病気で、医学的には多臓器不全の原因のひとつとして知られています。生前の報道によれば、渡辺さんは糖尿病の持病があり、12年にはロケ中の息苦しさで救急搬送され、心筋梗塞と判明し、血管内治療で九死に一生を得たことがあったといいますから、糖尿病の状態が悪く、敗血症を招いてしまったのかもしれません」
2人とも60代。男女とも平均寿命が80歳を超えた今では、まだまだ元気に活躍できる年齢だが、体の状態がよくなければ多臓器不全を起こしかねないことが分かる。


















