江戸おんな職人余録 第六弾 「福猫屋おきん」
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(8)いつの間にかそんな噂が
おきんは特に急かしたりはせず、女の子が自分から事情を話してくれるまでほっておくことにして、窯に火を入れた。 三度の食事の支度は女中の仕事だったが、飯炊きだけはおきんが毎朝やっている。 …
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(7)どうしたの?何かご用?
それは不思議でもなんでもない、ごく当たり前のことなのだ。だから、福猫屋の招き猫を飾ると、ちょっといいことが起こる。それは招き猫が福を招いているのではなく、招き猫を買った客自身が、自分で福を呼び寄せて…
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(6)鍋島の化け猫は忠義の猫
おかみさんは不思議な人だった。 福猫屋はもともと、おかみさんの実家。ご亭主の丑松さんは養子らしい。善爺によれば、おかみさんは子供の頃から土をこね、焼き物を作っていたという。 「あれでな…
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(5)猫という生きものは面白い
猫の気持ちなんて、わかるわけがない。 これまでに猫を飼っていたことはないし、特に猫が好きというわけでもなかった。でも仕事にするのだから、猫を知らねば始まらない。 福猫屋には三匹の飼い…
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(4)猫の気持ちがわかるんだね
確かに、全部、猫だった。 浅草の今戸焼窯元であり、今戸焼の招き猫屋でもある福猫屋では、招き猫しか作っていない。 今戸焼は江戸の焼き物の中でも素朴で気軽な楽焼で、町人の暮らしに使われる…
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(3)あんたが、おきんかい
おきん自身は、どんな噂が流れていようと気にしてはいなかった。 しょせん、捨て子の身。ふた親に愛されて育った子とは扱われ方が違うのは仕方ない。命があるだけ儲けもの。 女が十六、七にもな…
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(2)人形が歌った、と噂に
人形には人の魂が宿ることがあると信じられている。 人形師、と呼ばれる職人たちは、人形を型から作り、髪を植え、目をはめ込み、顔を描く。そうして一体作りあげるのに心血を注ぐ。そこまですれば、人の…
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(1)作るのはもっぱら、招き猫
浅草の春はあでやかに終わる。 肌にあたたかい風が吹くたびに、桜の花びらがどこからともなく舞いこんで、目の前をちらちらと流れてゆく。 「今年も花見に行き損ねた」 善爺が仏頂面で言…
