2つの関係先を怒らせた高市官邸「仮定」の「断定」
報道には出てこない現場のリアル
そして、首相の「めどがついた」発言は、もうひとつの現場にも混乱をもたらした。この時、各地でシンナー・塗料に加えて潤滑油の不足も深刻化し、私の契約先の石油・ガス販売事業者は日々対応に追われていた。供給元のメーカーからは「出荷のめどが立たない」という連絡ばかりで、製品の保管倉庫はほぼ払底していた。ところが、この「めどがついた」発言により、需要家側から「国があるって言っているじゃないか!」「在庫を抱え込んでいるんじゃないのか!」という批判が殺到したのだ。
輸入の急減によって生産がタイトになってモノが出てこない──この現実を、官邸は「流通の目詰まり」という言葉に変えて、流通業者に責任を押し付けたのである。確かに、一部の業者で「買い集め」の事実はあったが、それはほんの一部の事象であり、私の契約先、取引先、関係者に聞いても、「目詰まり」の事実は確認できなかった。
仮定を「断定」に変えて発言してしまった高市首相。「官僚の作文を読んだだけ」では済まされない混乱が、当時そこにはあったのである。



















