上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」
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AIによる診断と治療はいずれ人間の医師を超えるだろう
前回、「ナノボット」と呼ばれるナノメートル(10億分の1メートル)サイズのロボットを患者の体内に注入し、血管内のプラーク(粥腫)を取り除く治療法の研究開発が進んでいるとお話ししました。臨床の現場で実…
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ナノボットでプラークを取り除く治療法が現実になる可能性
1960年代に公開された「ミクロの決死圏」というアメリカ映画があります。脳出血で倒れた患者を救うため、すべての物質をミクロ化させる技術の究極版として、医療チームが乗り込んだ潜航艇を微小サイズにして体…
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ダメージを減らす「心筋保護液」の投与法は進歩し続けている
安全で確実な心臓手術を行うために欠かせない「心筋保護」についてのお話の続きです。 前回まで述べてきたように、心臓を停止させて行う手術では、血流が途絶えることで心筋細胞が障害され、術後に血流を…
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「心筋保護液」はさまざまな試行錯誤の末に確立された
心臓手術において、「心筋保護」が“守りの要”といえるくらい重要であると前回お話ししました。 心臓を停止させて行う手術では、血流が途絶えてしまうことで心筋細胞が障害され、術後に血流を再開しても…
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「心筋保護」は心臓手術の25%を占めるといえるほど重要な要素
安全で確実な心臓手術を行うためには、「心筋保護」が欠かせません。心臓手術全体の25%は心筋保護が占めているといえるくらい大事なもので、手術成績を左右する重要な因子です。 心臓や血管のトラブル…
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脈拍が速いと早死にするという説は本当か?頻脈は心房細動リスク増
脈拍=心拍数が速い人は早死にする──。こんな“説”を耳にしたことがあるのではないでしょうか。厳密には、心拍数は心臓が一定時間内(1分間)に拍動する回数、脈拍は体内の各血管が一定時間内(1分間)に拍動…
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睡眠時無呼吸症候群の治療装置CPAPが心臓を守り若さを保つ
睡眠時無呼吸症候群(SAS)に代表される「睡眠呼吸障害」は、心臓疾患の大きなリスク因子であることが知られています。今年3月には「循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン」の20…
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サプリメントと正しく付き合うために意識するべきポイント
これまで何度かお話ししたように、私は生活リズムをきちんと整えることを目的として、普段からサプリメントを使用しています。さまざまなものを試してきましたが、現在は、腸内環境をコントロールするもの、抗酸化…
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心臓疾患を発症したがん患者はまず心臓の治療を行うのが原則
よく使われている抗がん剤の中には心臓に対する毒性が認められるタイプがあり、副作用として心不全を起こすケースがあります。中でも「アントラサイクリン系」の抗がん剤は、使用している患者さんの約10%で副作…
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心毒性のある抗がん剤を使っているがん患者は心不全に注意
今年3月、一部の抗がん剤で心臓への強い副作用が出ることを受け、日本臨床腫瘍学会や日本腫瘍循環器学会が心臓に対する副作用への対応などについて初めてガイドラインをまとめました。 乳がん、肺がん、…
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薬のプラスアルファの効果が日本人の健康寿命に関係している
前回、尿酸値と心房細動を含む心臓疾患は深く関係していて、心臓を守るためには尿酸値をきちんとコントロールすることが大切だとお話ししました。そのために、尿酸値を下げる薬をうまく使うこともおすすめしました…
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尿酸値をしっかりコントロールして心臓を守る 心房細動とも関係
中年期に尿酸値が高いと将来的な心房細動リスクが大幅に上昇する──。今年1月、アメリカ心臓協会のオープンアクセスジャーナルに、そんな研究結果が報告されました。スウェーデンのカロリンスカ研究所が、30~…
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大掛かりな手術では術中から血栓ができやすい状態になる
足の骨折や股関節など下肢の整形外科手術を受けた後、療養中に運動量が減ってしまうと、足の静脈に血栓ができる「深部静脈血栓症」、その血栓が血流に乗って心臓まで移動し肺の動脈に詰まる「肺血栓塞栓症」を起こ…
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療養中に下肢でつくられた血栓が動脈に詰まり手術で取り除くケースも
病気やケガで入院や自宅での療養が続き体を動かす時間が減ると、足の静脈に血栓ができる「深部静脈血栓症」と、その血栓が血流に乗って心臓まで移動して肺の動脈に詰まる「肺血栓塞栓症」を起こす危険があります。…
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「もうひとりの自分」と「時間が止まる」 高みを目指す過程で現れた2つの感覚
前回、およそ20年ぶりに手術での縫い方を変えたことについてお話ししました。チームのスタッフとの連携があまりうまくいかないケースがあり、縫合している最中に糸が切れてしまうトラブルが何度か発生したことが…
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20年ぶりに手術での「縫い方」を変更した理由 変革は常に必要
これまで何度もお話ししてきたように、近年の心臓手術は患者さんの負担をより小さくする「低侵襲化」の方向に進んでいます。 新しく開発された医療機器を使用する治療法もありますが、低侵襲化のベースに…
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進化する低侵襲治療は「高額医療」でもあると知っておくべき
これまで何度かお話ししてきましたが、近年、心臓手術は「低侵襲化」の方向に進んでいます。これまでの手術と同じ内容のまま患者さんの負担をより小さくするための方法が模索されているのです。たとえば、「TAV…
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心臓移植はドナー不足…「再生医療」の進歩に期待したい
重度の心臓病により移植しか助かる方法はない──そう診断された幼い子供が、米国に渡航して心臓移植手術を受けるケースが相次いでいます。 日本では1997年に臓器移植法が施行され、脳死と判定された…
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「運動」は動脈硬化を予防するためにきわめて大切
前回に引き続き、動脈硬化の予防についてお話しします。 心臓から送り出される血液を全身に行き渡らせる役割を担う動脈が硬くなって柔軟性が失われる動脈硬化が続くと、狭心症、心筋梗塞、大動脈解離、大…
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動脈硬化を予防するには「脂質」のコントロールが最重要
昨年7月、日本動脈硬化学会が制作する「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」が5年ぶりに改定されました。同ガイドラインはもともと1997年から「高脂血症診療ガイドライン」として発表されていたも…