2018年まで主流だった3Dモデルの製作費は3ケタ万円、「キズナアイ」が手掛ける地方創生と秋田の関わり

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 世界初のバーチャルユーチューバー(VTuber)として誕生したKizuna AI(以下、キズナアイ)は2016年の活動開始から今年で10周年を迎える。この10年で市場は1260億円きぼにまで拡大。その中には、声優や歌手として活躍するケースもあるほか、「キズナプロジェクト」は地域プロジェクトも派生している。これほどの盛り上がりを見せた裏には、どんな工夫があったのか。この先、どこに向かうのか。キズナプロジェクトを立ち上げた「Active8」の大坂武史氏と、プロジェクトを支えて「横手キズナプロジェクト」にも関わる和賀有史氏に話を聞いた。そのインタビューの後編(全2回)だ。

■このままアーティスト路線でいいのか? 常に悩んでいる方向性

 ──キズナアイが軌道に乗ったと思ったのは、いつ頃なのでしょうか。

大坂:実は今も実感はあまりないのですが、強いて言うならば2018~19年でしょうか。当初から海外での人気が高いって、狙ってできることではないので本当に凄いんですよ。ただ、当時はまだ、VTuberのマーケティングをどうやったら成功させられるかという、成功事例がなかったのです。

 仮に売れているYouTuberのやり方を真似しても、上手くいくという保証はありませんでしたからね。現在、キズナアイはアーティスト路線を歩んでいますが、僕自身、方向性の判断には常に悩んでいます。

 ──そもそも、人間のYouTuberとVTuberでは、動画を作る際にかかる手間が違うのでしょうか。

大坂:基本的には、VTuberの方が人間よりもコストが高いんですよ。特に3DCGのVTuberは動画を撮る時点で複数人のスタッフが必須ですし、1人ではできません。

和賀:2018年まではキズナアイのような3Dモデルでの表現が主流でしたが、そのモデルを作るために三桁万円はかかりました。

 現在は平面的なイラストが動く、Live2D技術を使ったスタイルが主流ですが、こちらは3Dよりはコストがかなり押さえられ、個人でも十分用意できる範疇です。しかも、スマホでも動かせるので、自宅から配信している人がたくさんいますね。

■「横手キズナプロジェクト」で故郷・秋田を発信。大事なのはリアルとの接続

 ──現在、大坂さんは、故郷の横手市で「横手キズナプロジェクト」を進めています。キズナアイに似た“ゆきんこキズナ”というキャラクターが活躍していますね。

大坂:僕は以前から地方でも成功するビジネスの創出に関心があり、生まれ育ったあの頃の思い出の中の地元を失いたくない、文化の存続に貢献したいという思いがありました。地方創生は現代の日本で最大の難題だと思いますが、秋田の人からは秘めたる地元愛を感じますね。両親もまだ元気ですし、縁のある土地で何かをして、恩返しをしたいなと思っていました。

 そうして立ち上げたのが「横手キズナプロジェクト」です。理念は、エンタメで地域を盛り上げるというもの。ゆきんこキズナというキャラクターをハブにして、町の魅力を発信していきます。

 大事にしているのはリアルとの接続です。今年の2月には横手の伝統行事「かまくら」の中でVTuberと話せる体験ができるようにしたり、今年夏の「送り盆祭り」のときはVTuber職業体験教室や推し活グッズ制作体験を開催しました。一連のプロジェクトはクリエイターと一緒に盛り上げていきたいと思っていて、漫画のコンテストなども実施しました。

和賀:僕が生まれた羽後町は横手市の隣町ですし、子供の頃から横手は馴染み深い地域です。なので大坂さんと同じ想いで、自分事として取り組めています。僕は実行部隊として、今回もクリエイティブ回りに携わっているほか、このプロジェクトに関わってくれる方々とのコミュニティー運営などもやらせていただいてます。

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