孤独のキネマ
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【ブーニン 天才ピアニストの沈黙と再生】左足を切除したショッキング映像
筆者はこれまでピアノという楽器と無縁な人生を歩んできた。そのためピアノの鍵盤も触ったことがない。恥ずかしながら「猫踏んじゃった」も弾けない。クラシック音楽についてはチンプンカンだ。 だからス…
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『レクイエム・フォー・ドリーム 4Kリマスター』ダイエットと麻薬の依存症でもがく“不幸の親子どんぶり“
この「レクイエム・フォー・ドリーム」は2000年の作品。4Kリマスターで映像を鮮やかに磨き上げてリバイバル公開となった。筆者は25年前の日本公開時に見逃したので今回は試写で見学、面白さに圧倒された。…
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【安楽死特区】国が自殺する権利を認め、医師が死を幇助する近未来
「特区」とはおもに経済的な面で行政的、法的に特別な地位を与えられている地域や分野のこと。経済活動や事業を活性化させ、新たな産業を創出するため国が規制緩和などを行う。 映画「安楽死特区」は国家が…
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【ウォーフェア 戦地最前線】敵兵に完全包囲された兵士たちの血みどろ脱出劇
上映時間95分。2時間超えの映画が主流の時代に、本作は尺が短い。しかも冒頭が緩やかに流れていく。銃のスコープからイラクの町を見つめる狙撃兵らの会話が続く。このように上映時間が短く、のんびりと展開する…
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【五十年目の俺たちの旅】老境に達した男たちの友情が胸に染みる
カースケ、オメダ、グズ六……1970年代に青春時代を送った人はこの3人の名前に反応するはずだ。テレビドラマ「俺たちの旅」である。ドラマは75年にスタート。その後も10年ごとに特番ドラマが放送された。…
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【サムシング・エクストラ! やさしい泥棒のゆかいな逃避行】泥棒親子が障害者のキャンプに逃げ込んで良心に目覚める
この映画を見て菊池寛の小説「恩讐の彼方に」を思い出した。主殺しと辻斬りを犯した主人公が田舎の村に逃げ込み、善行に目覚める物語。洋の東西は違うが、その精神は本作に通じるものがある。本作はユーモアあふれ…
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【星と月は天の穴】バツイチ小説家の虚無的な性の日々
原作は吉行淳之介の同名小説(芸術選奨文部大臣賞受賞)、監督は「身も心も」「火口のふたり」の荒井晴彦。今度の男と女はどんな肉欲を突きつけてくるのかと興味津々だ。となれば見ないわけにはいかない。 …
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【エディントンへようこそ】コロナ騒動で現代アメリカの病理を描いた問題作
原題は「EDDINGTON」。日本の関係者は「エディントンへようこそ」という邦題を命名した。本作は新型コロナで右往左往する田舎町が舞台。ブラックジョークなストーリーゆえ「ようこそ」を追加したほうが分…
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【殺し屋のプロット】記憶喪失と闘うヒットマンが息子の犯罪に奔走
引退する殺し屋といえばリーアム・ニーソンのおはこだが、この男も負けてはいない。本作「殺しのプロット」のマイケル・キートンだ。記憶喪失と闘うヒットマンを重厚に演じている。 殺し屋のジョン・ノッ…
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「ナイトフラワー」極貧シングルマザーが売人に転落する血と暴力の世界
最近「シスターフッド」という言葉をよく耳にする。デジタル大辞林によると「①姉妹。また、姉妹のような間柄。②共通の目的をもった女性同士の連帯」の意味だ。本作「ナイトフラワー」は若い女2人のシスターフッ…
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【ドミニク 孤高の反逆者】ウクライナの女兵士が南米のワルどもをゲリラ戦で撃退
不思議なことだが、美女と拳銃のマッチングは映画映えする。か弱いはずの女が武器を手に取ると、男よりもカッコよく見えてくるのだ。この「ドミニク 孤高の反逆者」の主人公はピストルだけでなく機関銃をバンバン…
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【ブルーボーイ事件】性転換手術の医師をさばいた60年前の実話。その判決は?
筆者は日刊ゲンダイの記者として働いてきたから、世の中の事件や現象に目を向けてきたつもりだが、恥ずかしながら「ブルーボーイ事件」は知らなかった。本作は性的マイノリティーの人々が直面した実話を描いた問題…
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【モンテ・クリスト伯】少年時代の興奮が蘇る復讐劇の大作
子供のころ学校の図書館で「巌窟王」を読み、胸をわくわくさせた人は少なくないだろう。もともとはアレクサンドル・デュマの長編小説「モンテ・クリスト伯」。これを黒岩涙香(1862~1920年)が少年少女向…
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【火の華】自衛隊の隠蔽問題から飛び出した兵士の苦悩と愚行の物語
2016年、北アフリカ南スーダンでPKO活動中の自衛隊が襲撃を受けた。日本政府はこの事実を公表せず、当時の日報を廃棄したと説明。ところがジャーナリスト布施祐仁の情報開示請求によって、日報の電子データ…
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【愚か者の身分】戸籍売買の闇社会に生きる男たちが落ちた血まみれの地獄
藤沢周平の短編小説「恐喝」に、江戸時代のチンピラ主人公が従妹から「あんなのと早く手を切らないといけないよ。そうでないとおまえ、いまにひどい目に遭うよ」と説教される場面がある。「あんなの」とは主人公に…
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「おーい、応為」葛飾北斎とお栄、天才父娘が織りなす画業の相克
タイトルの「おーい、応為」は葛飾北斎が娘のお栄に「おーい、筆!」「おーい、飯!」と命じていたことにちなむ。本作はそのお栄の半生を描きながら、巨星・葛飾北斎の反骨ぶりを活写している。 北斎(永…
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「見はらし世代」妻の死による家族の崩壊。子供たちはなぜ父親を憎むのか?
この作品を見て「家族とは実に難しいものだ」と思った。お叱りを受けるかもしれないが、仕事に燃える男にとって、家族を抱えるのは厄介な作業でもある。 物語は普通の家族が別荘で休暇を過ごす場面から始…
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「シークレット・メロディ」若かりし日の恋の疼きが蘇るファンタジー
老若男女、人はみな胸がときめくロマンチックな出会いを求めている。特に10代の無垢な精神に包括された時期はそうした願望が強い。韓国映画「シークレット・メロディ」は見ている者が若かりし自分を思い浮かべ、…
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「ブラックドッグ」繁栄に取り残された中国の町で生きる前科者と野犬の絆
第77回カンヌ国際映画祭で「ある視点部門グランプリ」と、優れた演技を見せた犬に与えられる「パルムドッグ賞」をダブル受賞した。中国の寂れゆく街を舞台に、青年や大人、無数の野犬たちの生きざまを描く群像劇…
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「SENSEKI」逼塞の蘭学者が失明を乗り越えて挑む国防のライフワーク
この映画を見て「人間、年を取っても活躍の場はあるものだな」と感じ入った。というより、老境とは長年の経験や知識をさらに伸長させる実りの時期なのだと感心させられたのだ。 主人公は幕末、下総国古河…
