著者インタビュー
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「日本人が知らされてこなかった『江戸』」 原田伊織氏
「処方箋のない現代、何を材料にして次の時代の青写真を描くのかと考えたとき、幸いなことに日本人は、江戸という素晴らしい時代を持っています。これを誰が土の中に埋めちゃったんだという怒りに近い気持ちが私には…
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「原発事故と『食』」五十嵐泰正氏
社会学者の著者が、「食風評」が起こる市場のメカニズムや消費者心理、マーケティングなど複雑に絡み合う風評の構造をさまざまなデータや学術的見解を用いて俯瞰した論考集だ。 「そもそも風評というのは、…
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「ルポ川崎」磯部涼氏
川崎といえば、JRの駅前の大型モール、あるいはソープ街や競輪場、競馬場のイメージを抱く人が多いかもしれない。しかし今、臨海部のエリアが「川崎サウスサイド」と呼ばれ、ラッパーの聖地となっている。 …
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「シャーデンフロイデ」中野信子氏
“メシウマ”というネットスラングがある。「他人の不幸で今日も飯がうまい」の略で、他人の失敗や不幸をさらし上げて批判しながら、大盛り上がりしている際に使われる言葉だ。 あなたは、「何と見苦しい…
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「男性という孤独な存在」橘木俊詔氏
ここ数年、若者の結婚願望率が低下しているという。特に男性のそれが顕著で、30年前は結婚願望なしが4・5%だったのが、2015年には12%に。中でも最大の低下を示しているのが20代男性だ。 「あ…
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「オリンピック恐慌」岸博幸氏
平昌オリンピックが開催中の今、2年後の東京オリンピックに思いを馳せている人も多いことだろう。何しろ、日本経済も久方ぶりの上向き傾向にあり、関連施設建設やイベント需要のピークを迎えるこれからの2年間は…
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「ご先祖様、ただいま捜索中! あなたのルーツもたどれます」丸山学氏
自分の先祖をどこまで把握しているだろうか。せいぜい曽祖父母あたりの人がほとんどではないだろうか。 「先祖調査の依頼は主に40~60代で、親が亡くなったことがきっかけという方が多いですね。でも、…
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「グループサウンズ文化論」稲増龍夫氏
著者は、80年代に深夜放送で聴いたのを機に、突如グループサウンズ(GS)にハマった。 GSが流行した中学・高校時代は「子供っぽい」と傾倒せず、ロック、ジャズの愛好家となり、1万枚のジャズレコ…
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「動物園ではたらく」小宮輝之氏
自然交配では29年ぶりにパンダの赤ちゃん、シャンシャンが誕生し、賑わいを見せる上野動物園。本書は、その上野動物園で園長を務め、数多くの伝説をつくった“ミスター動物園”による、知られざる動物園の舞台裏…
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「東京発 半日旅」吉田友和氏
「半日旅」とは、思い立ったらすぐに実行できる旅のこと。 「私の旅行作家としての得意ジャンルは、もともと短期旅行なんです。週末土日で海外旅行とか、10日間で世界一周とか、日帰りで香港に行くとか、当…
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「シルバー民主主義の政治経済学」島澤諭氏
日本は今、かつての栄光の日々を忘れられないまま、右肩上がりの時代に形成されたシステムを後生大事に維持してきた結果、政府財政や社会保障制度の破綻が待ったなしの状況に陥っているのが現状だ。 「働き…
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「捨て猫に拾われた男」梅田悟司氏
猫好きが陥りがちな溺愛系の本ではない。可哀想な境遇の猫に涙を誘う物語でもない。著者は極めて冷静に、保護猫と暮らすことで得られるメリットを淡々と挙げていく。まさかのビジネス本、よもやの自己啓発本と言っ…
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「クルマを捨ててこそ地方は甦る」藤井聡氏
地方都市の衰退が問題視されて久しい。商店街はシャッター街と化し、地元にいるのは高齢者ばかり。若者の流出が原因というのが“定説”だが、著者はその説に待ったをかける。 「人口の減少が地方衰退の原因…
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「知的性生活」志賀貢氏
1990年代、医師が解説するセックス本やテレビ番組は隆盛を極めた。著者はこのブームを切り開いた第一人者でもある。 だが、ここ最近、セックスに関する本の売れ行きは好調とはいえない。著者自身もセ…
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「ぼくせん」木村忠啓氏
昨年、「慶応三年の水練侍」で朝日時代小説大賞を受賞し念願の小説家デビューを果たした著者。前作では、幕末の動乱期に藩の行方を左右する水泳勝負に挑むこととなった侍の奮闘が描かれ、“スポーツ時代小説”とい…
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「日本百名山 山の名はこうしてついた」楠原佑介氏
「江戸・東京 間違いだらけの地名の由来」「地名でわかる水害大国・日本」に続き、著者が挑んだのは、日本百名山だ。 その山には、なぜその名前がついたのか? 登山家の古典的名著・深田久弥著「日本百名…
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「転生の魔」笠井潔氏
哲学的主題を取り入れた本格ミステリーの矢吹駆シリーズや吸血鬼一族が跳梁する「ヴァンパイヤー戦争」シリーズなどでファンを魅了する小説家である著者。連合赤軍事件を内在的に捉えた「テロルの現象学」や〈21…
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「乗りかかった船」瀧羽麻子氏
会社員の愚痴として、よく耳にするものに、意に反した人事異動がある。希望の部署に行けない、できる人材が来ない、実力が評価されない、突然の左遷……、「人事は何考えてるんだよ」とぼやいたことがある人も多い…
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東京新聞・望月記者が語る「なぜ会見で疑問ぶつけない」
予定調和が恒例の官邸会見で、明瞭な声で質問する女性記者。今年4月以降、一躍有名になった東京新聞の望月衣塑子氏が半生を振り返り、著書「新聞記者」(角川新書)で新聞記者としての矜持と覚悟を書き下ろした。…
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「酒が仇と思えども」中島要氏
剣豪小説や伝奇小説、股旅物など時代小説のジャンルはさまざまあるが、著者が得意とするのは職人や商人などごくありふれた人々の人情を描く市井小説。 そのため舞台は江戸の町でも、まるで隣近所の住人の…