『SHOGUN 将軍』シーズン2撮影中の榎木孝明さん「世界的な時代劇映画のプロデュースに関わりたい」
榎木孝明さん(俳優/70歳)
世界的なヒットを記録したドラマ「SHOGUN 将軍」のシーズン2に出演する榎木孝明さん。やりたいことは世界的な時代劇のプロデュース。そのためにも殺陣、工芸など日本文化を活性化させたいという。
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今ちょうど「SHOGUN 将軍」シーズン2の撮影中です。海外の現場に行きますと、スタジオの広さやスタッフの人数も含め、スケールの大きさを感じますね。
「さすがハリウッドだな」と感じます。
その半面、日本の時代劇がハリウッドに先を越されてしまったという思いがあります。
真田広之さんが日本の時代劇を世界に広めたシーズン1の成功は素晴らしいです。と同時に、時代劇は日本発で作られてほしいという気持ちもあります。その思いは海外の撮影現場で刺激を受けて強く感じます。
■鎧や刀、殺陣、乗馬…とことん本物にこだわるのが理想
そこで僕のやりたいことは世界的な時代劇映画を作ること。できればプロデュースに関わりたいということです。
と言いましても、これはまだまったくの希望でしかないのですが、実現できた場合は主役にはこだわらないで若い俳優に道を譲り、僕は作り手に徹するのもいいですね。
そして映画のためでもあるのですが、日本の文化についても考えていきたいと思うんです。なぜなら、時代劇映画というジャンルが日本のさまざまな工芸文化と深く結びついているからです。
今は現代劇風にアレンジされた時代劇が多く、それも面白いのですが、正統な時代劇が減っている気がします。「時代劇は本来こうだ」と押し通した仕事ができたらと思っています。
それに、海外でヒットする日本の時代劇はそういったリアルなものではないかという気もするからです。
殺陣をとっても、本来の武士は刀を抜いたら生きるか死ぬかの世界です。
僕は薩摩出身で、薩摩示現流の指南を受けてきました。最初の時には「刀は一度抜いたら、生きるか死ぬかの決着がついて、初めて鞘に納められる」と教わりました。その意識をもって演技すると、竹光でも本物の刀に見せられるものです。そういう教えをしたいと思います。
工芸でいえば、黒沢明監督の時代劇では衣装の着物は西陣織、セットの襖絵は日本画家に描かせたりした。鎧ひとつとっても伝統工芸の塊みたいなもの。刀もそうですよね。時代劇にはそういった工芸が必要ですし、なくなれば時代劇もダメになっていく。
文化団体のパーティーや集いに参加する機会がありますが、伝統工芸が少なくなり工芸家の後継者もいなくなっていると聞きます。
着物や陶芸など個々のジャンルでは伝統を引き継ぐ努力をしておられますが、映画、とくに時代劇に大きな予算が付けば、映画を母体に伝統工芸の活性化にもつながるのではないかと。そしてそのように作られた日本の歴史作品が世界に広まるのではないかと思います。
そんな考えもあって、僕としては多くの予算が付くように、多くの人が好きな時代をテーマに世界規模の時代劇を目指していきたい。
もちろんまだ理想論で、これから実現のためにいろいろと取り組んでいきたいです。


















