保阪正康 日本史縦横無尽
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シリーズ「占領下の日本社会」(116)東條英機を「汚れ役」にした誤算、政治指導者たちの楽観が招いた戦争の長期化
「東條英機のような男に戦争政策を担わせるのがいいのだ」──。これが当時の政治指導者や、軍内での戦争政策に加担するのを是としないグループの密かな意見であった。むろん、これは実際の戦争に入っても、社会の政…
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シリーズ「占領下の日本社会」(115)なぜ「村役場の係長」程度の男が首相に選ばれ、軍事指導者となったのか
東條英機内閣は、真剣に戦争政策を「白紙還元」し、対米英戦の中止と日中戦争の停戦へと持っていくべきではなかったか。歴史的にはそのような疑問が残る。 しかし現実には、東條内閣は白紙還元のポーズで…
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シリーズ「占領下の日本社会」(114)天皇を無視した東條英機たちの暴走、ハル・ノート開戦説という「神話」
太平洋戦争の開戦に至るプロセスを見るに、あえて歴史的に確認しておかなければならないことがある。占領期の4局面で明かされた史実を検証すれば、私たちには容易に理解できることがあるのだ。この4局面にAグル…
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シリーズ「占領下の日本社会」(113)やはり、「昭和の戦争」を全面的に肯定していた人々はわずかしかいないのである
いささか結論めいた内容を書くが、昭和の戦争期(満州事変から太平洋戦争の終結まで)には、この国の戦争が「理にかなっている」と確信していた人たちは、日本国内では決して多くはなかったのではないか。私は、こ…
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シリーズ「占領下の日本社会」(112)GHQ検閲下で旧軍人たちの「本音」はどこに宿ったのだろうか
こうして見てくると、アメリカを中心とする連合国の占領支配を受けた6年8カ月の間、旧軍人や軍属、学徒兵らが体験手記や証言を残した背景には、次の4つの局面があったと言えるだろう。 1、東京裁判や各…
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シリーズ「占領下の日本社会」(111)「Cグループ」は戦争の虚しさを我々に教えてくれる書簡を遺した
前回紹介した石井秋穂のような旧軍の軍官僚たちをA、Bとは異なる「Cグループ」と名づけることにしよう。このグループは、戦後すぐに自らの体験をきちんと書き残している。その筆調には、誰を責めるとか誰に責任…
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シリーズ「占領下の日本社会」(110)石井秋穂は真夏でも扇風機を回さずに正座を崩さず証言をしたのだった
占領期に発表された旧軍人の手記や証言の中には、ひたすら弁明や自己保身に終始したものが少なくない。それらがどのような内容であったかを確認した上で、私たち次代の者が学ぶべき教訓を考えていきたい。 …
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シリーズ「占領下の日本社会」(109)田中隆吉の怒りに満ちた告発が暴く、東條内閣「3つの人格的歪み」
昭和陸軍を俯瞰した時に、私たちはいくつかの欠陥や錯誤は容易に指摘できる。だが、そのマイナス状況がいかなる形で現出したのかこそが、問われなければならない。 アメリカを中心とする連合国の占領支配…
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シリーズ「占領下の日本社会」(108)「特攻」「玉砕」…無謀な戦術を「日本精神の発露」と評価する前に、我々がなすべきこと
私の分析に基づいて、Aグループ(自省する軍人)とBグループ(自省しない軍人)との相違点を箇条書きにしてみよう。おおむね、以下のように言えるのではないだろうか。 1、自省するグループ「A」は、戦…
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シリーズ「占領下の日本社会」(107)東條英機を筆頭とする軍人グループに命を狙われていた田中隆吉
前回指摘したように、旧軍には欠点を自省するタイプ「Aグループ」と、まったく自省しないタイプ「Bグループ」に分けられ、そこには大きな差があった。特に日中戦争、太平洋戦争と続いていく戦争の時代に両者の差…
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シリーズ「占領下の日本社会」(106)東條英機系列の軍人たちによる歴史書、服部卓四郎「大東亜戦争全史」を疑う
今回取り上げる書は「大東亜戦争全史」(服部卓四郎著)である。これは言ってみれば服部機関が集めた大本営参謀にとって都合の良い戦史である。自分たちに都合の悪い史実や解釈については全く触れていない。いわば…
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シリーズ「占領下の日本社会」(105)「売国奴」と呼ばれたエリートたち…「服部機関」とウイロビーの蜜月
前回の続きになるが、旧日本軍に対する反省を一切持たない軍人グループも、実際には少なくなかった。その多くは、戦時下で権力を握って戦争指導を行い、戦後は巧みに戦犯追及の網から逃れたようなグループ、あるい…
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シリーズ「占領下の日本社会」(104)昭和の軍人たちの遺言「日本を亡ぼすものは日本である」
田中隆吉を論じる中で、これまで2人の軍人による次世代への忠告を紹介してきた。山下奉文の「次世代は旧軍を徹底して検証せよ」という遺言、そして大本営情報部の堀栄三の「日本はウサギの耳になれ」という言葉は…
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シリーズ「占領下の日本社会」(103)山下奉文と堀栄三の“遺言”、日本は旧軍と同じような組織を持ってはならない
昭和陸軍はなぜ、あれほど組織としての体裁を失っていったのか。そのことは詳細に点検しなければならない。もし日本がこれからも旧軍と同じような体質の軍事組織を持つことがあれば、この国は根本から崩れ落ちてい…
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シリーズ「占領下の日本社会」(102)東條英機が天皇に対して使っていた「二枚舌」は歴史に残すべき
田中隆吉は陸軍省兵務局長として、憲兵部門の統括者でもあった。すなわち軍内の警察機構を掌握していたために、憲兵が収集する情報はよく把握していたのである。 田中は国内の世論は全てが対米戦争を支持…
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シリーズ「占領下の日本社会」(101)「田中の正義感を、いつか書き残して欲しい」、同期生の老人は涙を浮かべて語った
田中隆吉について、私は旧軍の内実を書くときにも、あまり触れないようにしてきた。その理由は簡単で、私の心中に複雑な思いがあったからだ。 昭和50年代、ある雑誌から言われて、戦後世代から見た「田…
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シリーズ「占領下の日本社会」(100)田中隆吉は「昭和陸軍の裏切り者」なのか 敗戦わずか1カ月後の「正論」
東京裁判で検事側証人に立った田中隆吉(軍人、元陸軍省兵務局長)は、実にさまざまな局面について証言をしている。それだけ組織内の人物たちと、密度の濃い交わりを続けていたということだろう。従ってその証言や…
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シリーズ「占領下の日本社会」(99)検事団が31回もの尋問をした田中隆吉、東條英機への反旗
田中隆吉の略歴は、「敗因を衝く」をたどってみてもわかるが、軍人としては絵に描いたようなエリートとしての道を歩んでいる。「東京裁判資料 田中隆吉尋問調書」によれば、1893(明治26)年に島根県に生ま…
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シリーズ「占領下の日本社会」(98)軍国主義下の花形、「職業軍人」たちが戦後に書き残した告発本を読む
旧軍人の書き残した回想記や回顧録、あるいは自伝の類いを読んでいると、すぐにいくつかのことに気がつく。一口に「軍人」と言っても、その意味はかなり広い。戦争に行ってきた兵士まで軍人に含めれば、その定義は…
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シリーズ「占領下の日本社会」(97)GHQに全ての特権を剥奪された元軍人たちの生きざま
太平洋戦争が敗戦によって終結した後、日本はアメリカを軸とする戦勝国の占領支配を受けた。それは昭和20(1945)年8月から昭和27(1952)年4月まで、期間にして6年8カ月に及ぶ。この期間、日本は…
