タクシードライバー哀愁の日々
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(27)大女優と“夢の競演”も…携帯電話で話す乗客にはしばしば驚かされる
5年ほど前のことだ。 「おい、聞いてんのか!」 突然のお客の怒声に驚き「は、はい、なんでしょうか」と返した。すると「運転手さん、ごめんね。電話してるから」と携帯電話を耳元から離してお客…
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(26)「グラッチェ」こそなかったが…ケーシー高峰さんは本物の名医のようだった
「お仕事は何ですか?」 医者、弁護士、大学教授なら、待ってましたとばかりに誇らしげに自分の職業を明かす人がほとんどだろう。こうした職業の人は、尋ねた人から尊敬のまなざしを向けられることはあって…
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(25)その女性客は“オバケ”ではなかったけれど…「津田梅子」新札登場でふと思い出した
タクシードライバーが乗せるお客の7割以上は男性客といっていい。ただ、深夜の銀座、赤坂、六本木といった盛り場では、仕事を終えたホステスさんのお客も多くなる。バチが当たりそうだが、正直なところ、こうした…
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(15)乗客が“ドラハラ”に泣き寝入りしない方法…「エコカード」の威力は凄い!
テレビ、新聞などでたびたび「カスハラ」が報道される。ご存じの通り「カスタマー=顧客」の「ハラスメント=嫌がらせ」のことだ。コンビニや飲食店のお客が店の従業員に理不尽な言いがかりをつけ、トラブルに発展…
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(23)英語教師の職を捨て“憧れのタクシードライバー”になった同僚の話
ある日、仕事を終えて営業所に戻り、売上金のチェックをしていたときのこと。事務所で大きな声が響いた。 「今日は25日だから、給料は振り込まれていますよね」 事務職員にそう尋ねる声の主は4…
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(22)ドライバーとお客は「一期一会」だが…「もう一度会いたい」と願う出会いもあった
「袖すり合うも多生の縁」とか「一期一会」とか、1人の人間と見ず知らずの他人との出会いにまつわることわざはいくつもある。前者は、その2人は実は前世で出会っていて、再度会うのは偶然ではなく、何かの縁があり…
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(21)「尊敬してくれ」などとは申しませんが…悪ふざけや無理難題はご勘弁を!
「職業に貴賤なし」という。その通りだと思う。だが、家業の倒産を機に50歳を過ぎてやむにやまれずタクシードライバーの道を選ばざるを得なかった身としては、正直なところ胸を張って「タクシードライバーです」と…
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(20)お客の話を聞いてあげるのも、ドライバーの仕事のうち
ある日のこと。高齢の女性が手を上げているのを見つけてクルマを止めた。いつもの街を流していたのだが、なかなかお客に巡り合えず「どうしたものか。場所を変えるか」と考えていたときだっただけに「ラッキー」と…
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(19)「前のクルマについて行って」と言われたけれど…なんと相手はマイバッハだった
タクシードライバーにとって無線配車の仕事はありがたい。お客待ちのために駅やホテルで“つけ待ち”していてもなかなか自分の順番が来なかったり、街を流していても手を上げてくれるお客に遭遇しなかったりするの…
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(18)苦労から学んだのは、お客に対して素直に「教えてください」と言えるメンタリティー
タクシードライバーになり始めの頃、もっとも神経を使ったのが大都会・東京の走り方だった。埼玉県の田舎町で生まれ育ち、大学生時代も埼玉県、卒業後に手伝い始めた父親の会社も同じ田舎町だった。だから、タクシ…
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(17)「籠脱け」被害で私は一計を案じた…「お宅の玄関までお供いたします!」
タクシーは、江戸時代でいえば駕籠のようなものだ。そのせいか、タクシー業界には、江戸時代の名残である「駕籠屋」にまつわる言葉も残っている。前にこのコラムで紹介したが、街道で不当な商売をする「雲助」はそ…
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(16)他人様のお金を黙って懐に入れたら…「1万円札」をめぐる2つの思い出
古典落語で有名な「時そば」は、そば代を支払うときに何度も「いま、何時だい?」と尋ねて、そば屋の注意をそらしなんとかそば代をごまかそうとする客の話。幸いなことに私はそんな客に遭遇したことはない。 …
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(15)乗客との会話で“悲劇の人”を演じた自分にハッとした…今も胸に刻む初老の紳士の言葉
ご存じの方もおられるだろうが、タクシー業界ではお客を乗せている状態のことを「実車」と呼ぶ。長くこの仕事をやっていても、実車中のドライバーはそれなりに緊張を強いられる。なんといっても、ほとんどのお客と…
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(14)真面目に誠実に働いていれば小さな幸運が待っている
「雲助(蜘蛛助)」という言葉がある。最近ではめったに使われることがないから、とくに若い世代の人には馴染みのない言葉だろう。だが、ひと昔、いやふた昔前までは、タクシードライバーへの蔑称としてしばしば使わ…
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(13)「何度も聞くな、いつも使ってるんだ」と罵声…後日“怪物クレーマー”の職業知り愕然
タクシーがなかなか拾えないバブル景気の頃の話だ。無線室から連絡が入り、指定の場所に行くと、なかなかタクシーを拾えないお客が、さも自分が無線で呼んだかのように乗り込んでくるケースがあった。当然、本当に…
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(12)酔って、絡んできた美人ホステスさんの意外な言葉
「酒は百薬の長」といわれるが、まったくの下戸である私にはその実感はない。職場の同僚のなかには無類の酒好きもいたが、こういうタイプは自己管理に苦労する。なぜなら、勤務の前には厳しい呼気検査があり、これに…
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(11)台東区役所で乗せ途中下車3度、料金は3万円近く…「不思議で変なお客」が忘れられない
「今度のお客は、アブナイ客じゃなきゃいいな」 タクシードライバーをはじめたころは、手を上げるお客を見つけるたびに「お金になる」という喜びと同時に、そんな不安を覚えていた。私はいたって柔和な人間…
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(10)「宗教、政治、野球の話はしない」が原則…先輩ドライバーからもそう教わった
手を上げているお客がいれば、条件反射的にクルマを止めて乗せる。よほど異様な外見や行動の持ち主でなければという条件はつくが、ほとんどのタクシードライバーの基本だ。そして乗せたお客とドライバーの関係はま…
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(9)頑張って稼いできた「現ナマ」たけど…会社に戻ればただ「吐き出す」だけ
かなり以前のことだが、当時、ある20代の同僚がこんなことを言っていた。 「タクシードライバーって、鵜飼いの鵜みたいですよね」 朝、「さあ、今日も頑張るぞ」と気合を入れたときだった。その…
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(8)大きなトラブルや暴力沙汰は未経験だが…「見ず知らずのお客と密室で」という不安
「テメエ、なんだ、その口のきき方は!」「道が違うじゃねえか」などと悪態をつき、運転席の後ろを蹴り上げるお客。挙げ句の果てに、なんだかんだとイチャモンをつけて乗車料金を踏み倒して逃げていく……。 …