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内田正治タクシードライバー

1951年埼玉県生まれ。大学卒業後、家業の日用品、雑貨の卸会社の専務に。しかし、50歳のときに会社は倒産。妻とも離婚。両親を養うためにタクシードライバーに。1日300キロ走行の日々がはじまった。「タクシードライバーぐるぐる日記」(三五館シンシャ)がベストセラーに。

(28)タクシー券悪用で「キックパック」の誘い…バブル期にはいろんなことがありました

公開日: 更新日:

「バブルのころは……」

 60代、70代の方なら、ほとんどの人がこうした前振りではじめる景気のいいエピソードの1つや2つはあるはずだ。程度の差はあるだろうが、なかには「臨時ボーナスが1人100万円」「接待ゴルフが毎週」「週に2回は銀座のクラブ」「帰宅は毎晩タクシー」など、いまの若い世代には信じられないような経験をした人が多いはずだ。

 バブル時代には、タクシードライバーもまた少なからずバブルの恩恵に浴していたことは間違いない。ごくまれにだが、3500円の乗車料金でも5000円札、1万円札を出して「釣りはいらない」というお客もいた。それどころではない。当時、ある同僚から聞いた話がある。午後の3時ごろ、銀座で大きな紙袋をいくつも持った女性が手を上げている。「セレブ婦人がお買い物か」と、最悪はワンメーター、よくて目黒、渋谷界隈まででせいぜい3000円程度のお客だろうと値踏みをする。ところが、クルマを止めてみると「運転手さん、鬼怒川まで」と言われて驚いたという。鬼怒川といえば栃木県。バブル当時でもタクシー代は3万円以上だ。おまけにメーターは出るが、高速道路を使うから信号待ちもない。所要時間も往復で4時間程度。ドライバーにとってはじつに「おいしい仕事」だ。

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