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内田正治タクシードライバー

1951年埼玉県生まれ。大学卒業後、家業の日用品、雑貨の卸会社の専務に。しかし、50歳のときに会社は倒産。妻とも離婚。両親を養うためにタクシードライバーに。1日300キロ走行の日々がはじまった。「タクシードライバーぐるぐる日記」(三五館シンシャ)がベストセラーに。

(23)英語教師の職を捨て“憧れのタクシードライバー”になった同僚の話

公開日: 更新日:

 ある日、仕事を終えて営業所に戻り、売上金のチェックをしていたときのこと。事務所で大きな声が響いた。

「今日は25日だから、給料は振り込まれていますよね」

 事務職員にそう尋ねる声の主は40代前半の同僚だ。時間は午前1時。たしかに給料日の25日であることは間違いないが、朝の9時を待てずにこんな質問をするのは尋常ではない。私自身も、給料日を忘れてしまえるほど余裕のある暮らしはしていないが、一分一秒も待てないほどお金に困っているわけではない。けれども、振込時間を確認する同僚の声には、ただならぬ切迫感が漂っていた。そんな同僚の態度とは裏腹に、事務職員の答えは冷たかった。

「オレ、銀行員じゃねえからわかんねぇ」

 給料が25日の何時に振り込まれるのか、私自身も知らなかったが、この同僚にとっては大きな問題のようだ。それほど親しい間柄ではなかったから、彼がどんな暮らしをしているのかは知らない。家族がお金を今か今かと待っているのかもしれないし、一刻も早く返済しなければならないお金があるのかもしれない。あるいは現金をもって、賭けマージャンに出かけようとしているのかもしれない。同僚のなかにはギャンブルの借金や闇金の借金返済で四苦八苦している人間もいたから、彼もそのタイプだったのだろうか。

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