今日の新刊
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「核の戦後史」木村朗、高橋博子著
アメリカのABCC(原爆傷害調査委員会)は1947年、広島、長崎に入り、被爆者の治療は一切せずに原爆の効果だけを調査した。 葬式代を出すなどして被爆者の遺体を集めてデータを収集し、1975年…
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「砂丘の蛙」柴田哲孝著
殺人事件の刑期を終え、出所したばかりの崎津直也の死体が神戸港に揚がった。その知らせを受けた夜、10年前、崎津を逮捕した刑事・片倉康孝が刺された。片倉と崎津を刺した凶器は同じものだった。 片倉…
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「コーヒーの科学」旦部幸博著
コーヒーのなかでも〈モカ香〉と呼ばれる独特の芳香をもっているのが、イエメンのコーヒーだ。この香りは乾式製法によるものだが、同じ乾式製法でもブラジルのコーヒーからは感じられない。ブラジルでは収穫したコ…
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「土と水の探究者たち」瀬古一郎著
1995年、阪神・淡路大震災が起きたとき、それまでの最大値だった震度7を超える被害が見られる地域があった。 砂防、港湾などのプロジェクトに関わってきた中央開発㈱のメンバーは、区分地図を持って…
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「すしそばてんぷら」藤野千夜著
下町で祖母と2人暮らしの寿々は、早朝のテレビ番組でお天気おねえさんを務めているが、婚約者の心変わりでいきなり破談になった。そのうえ気象予報士の試験にも落ちた。 事務所の社長が赤穂浪士も食べた…
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「図書館(超)活用術」奥野宣之著
販売ノルマや売れる商品のアイデアに悩んでいる人は、近くの図書館に行くといい。情報が必要な場合、ネット検索をする人が多いが、ネット検索では「誰が調べても同じ」にしかならない。だが、図書館では「自分だけ…
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「銀座百話」篠田鉱造著
明治7年、銀座2丁目の横辻で、むしろを敷いて小机を前に「八犬伝」を読む少年講釈師がいた。朝野新聞社社長の成島柳北が人垣からのぞくと、隣に付き添っている老婦人に見覚えがある。かつて世話になった元旗本の…
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「公方様のお通り抜け」西山ガラシャ著
尾張徳川家の戸山下屋敷に出入りする大百姓・外村甚平は、屋敷奉行の拝郷弾蔵から大きな仕事を頼まれた。公方様が鷹狩りの帰りに屋敷に立ち寄るので、公方様を楽しませる庭を造ってほしいという。 公方様…
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「菌世界紀行」星野保著
北大の大学院でカビなどの研究をしていた著者はアルバイト先の研究者に、研究に役に立つのではと雪腐病菌を教えられた。雪の下で踏んばっている植物に雪腐病をもたらすというマイナーな菌類だ。 氷点下で…
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「シベリア最深紀行」中村逸郎著
ロシアは多民族国家で、西シベリアはかつてはタタール人と総称されるウズベク人、カザフ人、トルコ人などが暮らすイスラム文化圏だった16世紀末にロシアの英雄、イェルマークに征服されたのだが、そのとき、川で…
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「ミッドナイト・ジャーナル」本城雅人著
中央新聞さいたま支局の関口の記事に、デスクは「不明女児、遺体発見か」という見出しをつけて送った。だが、3人目の女児は無事発見され、大誤報となった。2人の女児を殺害した犯人はやがて逮捕され、処刑された…
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「子の無い人生」酒井順子著
著者は「負け犬の遠吠え」を書いたとき、結婚さえすれば「宿題は終わった」という気分になると思ったが、2人以上の子をもって初めて、結婚は完成したと見なされることに気づいた。 「源氏物語」の紫の上は…
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「情け深くあれ」岩井三四二著
信長が京に入り、市中は騒然としていた。医師・曲直瀬道三の弟子、英俊は道三の代診で、中風に苦しむ幕府の元奉行・松田駿河守の屋敷を訪れた。薬を処方して辞去しようとしたとき、「謀反の疑いあり」と呼ばわって…
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「女神」藤田宜永著
しがない探偵の竹花のところに、料金着払いの荷物が届いた。差出人の山本浩信という名前に心当たりはない。開けてみるとボロボロの旅行バッグの中に、下着やTシャツに交じって千鶴という女宛ての恋文や、少女の似…
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「東京都三多摩原人」久住昌之著
〈三多摩〉とは東京都の23区と島嶼(とうしょ)以外の地域で、元は神奈川県だったので住民は〈江戸っ子〉じゃない。三鷹生まれの著者は、はるか昔の祖先、三多摩原人の生活をしのぼうと、子どものころ遊んだドブ川…
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「政治をみる眼」新藤宗幸著
「アベ政治を許さない」というプラカードを掲げたデモに子育て中の母親、大学生、高校生が参加した。そこには政治的イデオロギーはまったく介在せず、個人の生活を守ろうとする「理性」の発露がある。 かつ…
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「星宿る虫」嶺里俊介著
長野の山中にある宗教法人「楽園の扉」から脱走してきた少女が、そこでは大規模な管理売春が行われていると証言した。警察官が事情聴取に赴いたとき、突然、火災が起こり、信者23人が死亡した。 焼死体…
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「牛を飼う球団」喜瀬雅則著
2007年9月、経営危機に陥っていたプロ野球独立リーグ「高知ファイティングドッグス」のオーナー就任を依頼された若き実業家・北古味鈴太郎は、あまり乗り気ではなかった。だが、たまたま入った寿司屋で、球団…
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「何かのためではない、特別なこと」平川克美著
映画監督・成瀬巳喜男が、戦後まもない日本を描いた「浮雲」を見ていたら、戦後の街並みの風景に見覚えがあった。だが、それは昭和20、21年ごろの風景で、25年生まれの著者が見ているはずはない。それなのに…
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「つつましい英雄」マリオ・バルガス・リョサ著 田村さと子訳
運送会社オーナーのフェリシト家の玄関扉に青い封筒が貼り付けられていた。中身は月500ドルで彼の会社と家族を守ってやるという脅迫状だった。警察は頼りにならない。25年前にトラックの事故を予言して彼を助…