「核の戦後史」木村朗、高橋博子著

公開日: 更新日:

 アメリカのABCC(原爆傷害調査委員会)は1947年、広島、長崎に入り、被爆者の治療は一切せずに原爆の効果だけを調査した。

 葬式代を出すなどして被爆者の遺体を集めてデータを収集し、1975年、ABCCは日米共同研究機関「放射線影響研究所」に再編される。これは〈平和目的〉だとされているが、真の目的は核テロ対策だった。

 放影研は「放射線・核の脅威への医学対策」につながる研究としているが、自分たちから得たデータを新たな核兵器の使用を前提とする研究に使われることに気づいた被爆者は、この研究計画の白紙撤回を求めている。

 原爆と原発の隠蔽された歴史に鋭く斬り込む一冊。(創元社 1500円+税)


【連載】今日の新刊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    これぞ維新クオリティー!「定数削減法案」絶望的で党は“錯乱状態”…チンピラ度も増し増し

  3. 3

    「おこめ券」迫られる軌道修正…自治体首長から強烈批判、鈴木農相の地元山形も「NO」突き付け

  4. 4

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった

  5. 5

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  1. 6

    12月でも被害・出没続々…クマが冬眠できない事情と、する必要がなくなった理由

  2. 7

    やはり進次郎氏は「防衛相」不適格…レーダー照射めぐる中国との反論合戦に「プロ意識欠如」と識者バッサリ

  3. 8

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  4. 9

    黄川田地方創生相が高市政権の“弱点”に急浮上…予算委でグダグダ答弁連発、突如ニヤつく超KYぶり

  5. 10

    2025年のヒロイン今田美桜&河合優実の「あんぱん」人気コンビに暗雲…来年の活躍危惧の見通しも