本の森
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「生と死を分ける翻訳」アンナ・アスラニアン著 小川浩一訳
「生と死を分ける翻訳」アンナ・アスラニアン著 小川浩一訳 多言語の音声アプリなど機械翻訳の需要が高まっている。日常会話程度なら問題ないが、少し踏み入った議論となるとなかなか難しい。互いの言語の…
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「声と文字の人類学」出口顯著
「声と文字の人類学」出口顯著 ユニセフがSDGsの目標に読み書き(と計算)ができることを掲げているように、現代社会では読み書き能力(リテラシー)に重きが置かれている。その一方で、口頭のみのコミ…
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「『大漢和辞典』の百年」池澤正晃著
「『大漢和辞典』の百年」池澤正晃著 収録漢字5万語、語彙数25万語という桁外れな規模の諸橋轍次著「大漢和辞典」全13巻が完結したのは1960年。版元の大修館書店の創業社長・鈴木一平と諸橋が出版…
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「ヤマトタケルの日本史」井上章一著
「ヤマトタケルの日本史」井上章一著 ヤマトタケルといえば、女を装い敵であるクマソ一族の宴席にもぐりこみ、その美貌に魅了されたクマソの族長を討ち取ったことで知られる。今風にいえば、トランスベスタ…
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「じゃじゃ馬娘、ジョニ・ミッチェル伝」デヴィッド・ヤフィ著 丸山京子訳
「じゃじゃ馬娘、ジョニ・ミッチェル伝」デヴィッド・ヤフィ著 丸山京子訳 今年のグラミー賞授賞式で、ジョニ・ミッチェルがライブパフォーマンスを行ったことが話題となった。ジョニは過去10回グラミー…
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「頭上運搬を追って」三砂ちづる著
「頭上運搬を追って」三砂ちづる著 頭上運搬とは、自動車などの移送手段がなかったところで頭に物をのせて運ぶこと。両手で持つより多くの物を運べることからアフリカ、中南米、東アジア一帯では現在でも見…
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「脇役たちの西洋史」有光秀行、鈴木道也編
「脇役たちの西洋史」有光秀行、鈴木道也編 ドイツ文学者・エッセイストの池内紀に「二列目の人生」という伝記エッセー集がある。華々しい活躍をして1列目に居並ぶ人たちではなく、2番手として独自の生き…
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「左右を哲学する」清水将吾著
「左右を哲学する」清水将吾著 鏡の前で右手を挙げると、鏡に映る「自分」は左手を挙げている。上下・前後はそのままなのになぜ左右だけが逆転するのか? マーティン・ガードナーの「自然界における左と右…
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「死因の人類史」アンドリュー・ドイグ著 秋山勝訳
「死因の人類史」アンドリュー・ドイグ著 秋山勝訳 1999~2019年の世界の主要死因は、虚血性心疾患、脳卒中、慢性閉塞性肺疾患、下気道感染症などが上位を占めていたが、新型コロナウイルスの蔓延…
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「リーゼ・マイトナー」マリッサ・モス著、中井川玲子訳
「リーゼ・マイトナー」マリッサ・モス著、中井川玲子訳 話題の映画「オッペンハイマー」は、米国の原爆開発プロジェクト「マンハッタン計画」の指導的役割を果たし“原爆の父”と呼ばれたロバート・オッペ…
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「女性が科学の扉を開くとき」リタ・コルウェルほか著 大隅典子ほか訳
「女性が科学の扉を開くとき」リタ・コルウェルほか著 大隅典子ほか訳 ノーベル賞の自然科学3賞(物理学/化学/生理学・医学)の受賞者の女性が占める割合はわずか2%だという。自然科学分野における極…
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「母の最終講義」最相葉月著
「母の最終講義」最相葉月著 日本の要介護認定者は682万人(令和3年)で、介護保険の導入により公的サービスが拡充されつつあるが、在宅で介護を受けている高齢者のうち、主たる介護者が親族である割合…
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「天狗説話考」久留島元著
「天狗説話考」久留島元著 天狗といえば、東の高尾山の駅構内の巨大な天狗の顔の石像、西の京都・鞍馬駅前の大天狗のモニュメントが知られている。最近では、江戸時代の国学者・平田篤胤が天狗にさらわれた…
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「検閲官のお仕事」ロバート・ダーントン著 上村敏郎ほか訳
「検閲官のお仕事」ロバート・ダーントン著 上村敏郎ほか訳 戦前の文献を読んでいると、○○や××などの記号で伏せ字が施されたものを見かける。これは、検閲官が問題視しそうな文言や表現をあらかじめ伏…
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「ゴキブリ・マイウェイ」大崎遥花著
「ゴキブリ・マイウェイ」大崎遥花著 ゴキブリ、と聞いただけで身構えてしまう人もいるかもしれない。しかし、全世界には約4500種のゴキブリがいて、そのうちクロゴキブリなど害虫と呼ばれるのは1%未…
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「石母田正」磯前順一著
「石母田正」磯前順一著 「暗黒のなかで眼をみひらき、自己を確乎と支えてゆくためにはわれわれは学問の力にたよるよりほかなかった」。戦後歴史学の出発点をなす「中世的世界の形成」(1946年刊行、執筆…
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「クジラと話す方法」トム・マスティル著 杉田真訳
「クジラと話す方法」トム・マスティル著 杉田真訳 著者は生物学者から映像作家に転じ、人間と自然が出合う物語を専門とする。2015年、カリフォルニア沖でカヤックをこいでいた著者らの前にザトウクジ…
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「隆明だもの」ハルノ宵子著
「隆明だもの」ハルノ宵子著 12年前の3月16日、戦後日本思想界に大きな影響を与えた思想家の吉本隆明が亡くなった。2年後の2014年から全38巻別巻1という長大な全集の刊行が始まった(既刊34…
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「私たちはいつから『孤独』になったのか」フェイ・バウンド・アルバーティ著、神崎朗子訳
「私たちはいつから『孤独』になったのか」フェイ・バウンド・アルバーティ著、神崎朗子訳 2018年1月、英国政府は「孤独は現代の公衆衛生上、最も大きな課題のひとつ」だとして孤独担当大臣を設置した…
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「50代で一足遅れてフェミニズムを知った私がひとりで安心して暮らしていくために考えた身近な政治のこと」和田靜香著
「50代で一足遅れてフェミニズムを知った私がひとりで安心して暮らしていくために考えた身近な政治のこと」和田靜香著 フリーランスのライターの著者は2つのバイトを掛け持ちしながら何とか生計を立てて…