「盲山」中国政府が上映中止に追い込んだ農村人身売買の戦慄
7月18日(金)よりシネマート新宿にて1週間限定上映

「盲山」と書いて「マンシャン」と読むらしい。中国映画だ。2007年の公開当時、中国政府によって20数カ所をカットされたうえに上映が禁止されたという。どんな作品なのかと思って見てみたら驚愕の内容。拉致による人身売買の物語だ。農村の恐ろしさが迫ってくる。1週間の限定上映だ。
時代は1990年代。大学生の白雪梅(パイ・シューメイ)は薬品を売る仕事を紹介してくれるという男と出会い、遠く離れた山村へ向かう。長く過酷な旅の末、眠りに落ちた雪梅が目を覚ますと、見知らぬ農家に横たわっていた。自分がどこにいるのかも分からず、財布や身分証明書、手荷物もすべて失っている。紹介者の男も見当たらない。雪梅は村人から、40歳の独身男・黄徳貴(ホアン・デグイ)の花嫁として売られたと聞かされ、自分が人身売買業者に騙されたことに気づく。
彼女は徳貴とその家族に解放を懇願するが、彼らは拒否。それどころか黄一家は結婚披露宴を開き、レイプまがいの性交をさせる。雪梅は抵抗するが、虐待によってねじ伏せられた上に監禁され、奴隷のような生活を送ることになる。
意志の強い雪梅は逃走の機会を狙う。だが、この村では誰も彼女を助けようとしない。村人たちは監視を手伝い、雪梅は逃亡を図るたびに捕らえられ、公然と暴行を受ける。
村人たちの利己主義、そして警察の無関心によって、彼女はこの孤立した村で完全に囚われの身となり、男児を出産。まもなく家族と連絡を取ることに成功する。ようやく待望の助けが現れるが、それは新たな悲劇の始まりに過ぎなかった……。