「タンゴの後で」あの衝撃作でトラウマを抱えた女優マリア・シュナイダーの絶望を描く
TOHOシネマズ シャンテほかにて全国公開中
「ラストタンゴ・イン・パリ」――。60歳以上の人ならこのタイトルを聞いて顔に意味深な笑いを浮かべるかもしれない。
1972年にイタリアのベルナルド・ベルトルッチ監督が世に放ち、世界中でセンセーショナルな話題を呼んだ官能映画。翌年の日本公開でもセックス描写が注目された問題作だ。パリで出会った中年男と若い女がアパルトマンの空室でセックスにふけるストーリーである。
本作はこの「ラストタンゴ・イン・パリ」が製作された裏舞台に迫る実録もの。製作者の身勝手と出演した女優マリア・シュナイダーの苦悩がメインテーマだ。
19歳の若手女優マリア・シュナイダー(アナマリア・ヴァルトロメイ)は新進気鋭の監督ベルナルド・ベルトルッチ(ジュゼッペ・マッジョ)と出会い、「ラストタンゴ・イン・パリ」で一夜にしてトップスターに駆け上がる。しかし、48歳のマーロン・ブランド(マット・ディロン)との過激な性描写シーンは彼女に苛烈なトラウマを与え、その後の人生に大きな影を落としていく。
以上がプレス資料のストーリー解説。簡潔な内容だから、「ラストタンゴ・イン・パリ」を未見の人は何が何やらわからないだろう。説明を加えるなら、作品中に登場する「バター事件」に触れなければならない。