可児才蔵(1)柴田、明智、前田、織田…なぜ主人を頻繁に替えたのか
戦国時代の勇者として名高い可児才蔵は、諱を吉長といいます。本来なら可児吉長と呼ぶべきかもしれませんが、通称の才蔵の方が人口に膾炙しています。本稿も才蔵でいきましょう。天文23(1554)年、美濃国可児郡(現在の岐阜県南部)に生まれ、幼少期を地域の大寺院である願興寺で過ごしました。
寺伝では越前の戦国大名・朝倉氏の血を引くとありますが、さて、どうでしょう? 武士にとって「家」は大切です。ちゃんとした家に生まれたら、堂々と家名を名乗るはず。それなのに可児出身の才蔵、です。近江石田村の佐吉こと石田三成、同国藤堂村の与右衛門こと藤堂高虎と同じレベル。つまり、たいした生まれではなかった、と推定されます。でも尾張中村の藤吉郎や桶屋の市松(福島正則)よりは上なのかな。
長じて柴田勝家・明智光秀・前田利家・織田信孝・森長可などに仕えました。それぞれの家中でどんな存在だったのか、どれほどの禄を食んでいたのか、詳しいことは分かりません。ただ、主人を頻繁に代えたことは確かです。
家中で一目置かれていたら、退職願を出したときに「分かった、サラリーを50石ほど上げてやるからウチにいろ」と引き留められそうなものです。若いころは、それほどの武者ではなかったのでしょうか。年を取って突然、才能が覚醒した? いや、これはさすがに無理がありそうです。
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