日本中学生新聞が見た参院選 「参政党は『ネオナチ政党』。取材拒否されたけど注視していきます」

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 7月20日投開票だった参議院選挙。日本中学生新聞の川中だいじさんは、17日間の選挙期間中、43本の取材動画をYouTubeに投稿するなどして、候補者たちに肉薄した。自公の与党が過半数を割り込む一方、新興政党の参政党が躍進するなど地殻変動もあった今回の参院選で、14歳の記者は何を見て、何を思ったのか。 (聞き手=小塚かおる/日刊ゲンダイ)

  ◇  ◇  ◇

 ──参院選はどんな取材をしたのですか。

 大きく2つです。大阪選挙区に立候補した19人全員への取材と各党の党首級の人の取材。これに加えて、兵庫選挙区の多田ひとみ候補の取材です。

 ──参院選を取材してみてどうでしたか。

 まず、僕が取材した大阪選挙区で、27年ぶりに自民党が議席を失い、参政党が公明党を上回って3位で当選したことには、正直驚きを隠せません。

 選挙の公示日に参政党候補の宮出千慧さんを取材したのですが、その時は、当選ラインには届かないだろう、比例票を集めるために立候補したのだろう、と思っていました。街宣車も、政治活動用に使っていただろうと思われる車用の看板がそのままで、その上に「消費税廃止!行くで!やるで!宮出! 宮出ちさと」と書かれた本人の顔写真付きの板を貼り付け、その横には神谷宗幣代表の写真と3つの政策が書かれたポスターが貼り付けられていただけ。聴衆もあまりいなかったですから。オレンジのTシャツを着た人がチラシを配っているくらいで、勝つ気もないのかな、という印象でした。でも、選挙戦の最終盤になると、かなり人を集めていて。「ああ、これは当選するだろうな」と思いましたね。

■「僕は参政党から取材を拒否されました」

 ──なぜ参政党は支持を伸ばしたのだと思いますか。

 参政党の何がいいのか、僕も正直分からないですし、まだ自分の中で検証できていないのですが、ポピュリズムのやり方がうまかったのだと思います。僕は、1930年代のドイツのナチスの動きと重ね合わせて見てしまいます。ナチスも最初は過激なことを言いましたが、国民感情に乗らないと見るや少し融和的になって、支持が固まると、また過激になる。信じ込んでいる人たちは過激なことも、そうだ、そうだ、となってしまう。その構図が似ているなと。

 ──確かにそういう指摘はありますね。

 結党当時の「参政党Q&Aブック」を読んだんです。それには無茶苦茶なことばかり書いてあるのですが、今は少しまともな公党としての政策も出しています。ただ、党首の失言を見れば、やはり中身は隠しきれていない。街頭演説での差別的な発言もそうですが、失言というのは、その政治家の本心が出たものだと思います。元々が歴史修正主義者であることは変わりがないので、その点については僕も今後、YouTubeやいろんなメディアで共有できればなと思います。でも……。

 実は、僕は参政党から取材を拒否されました。神谷代表の街頭演説後の囲み取材で質問しようとしたら、「どこのメディアか」と聞かれて。「日本中学生新聞です。フリーランスで」と答えたら、「フリーランスは無理」と関係者にぐっと押しのけられました。

 ──参院選が終わって、これからの取材は?

 今後も参政党に関しては、僕は「ネオナチ政党」だと思っているので、そのことを含めてメディアで発信し、注視していかないといけないなと思っています。

 あとは、石破首相がどうなるか。温かい目で見守る、という言い方は上から目線かもしれないですけど、本当に頑張ってほしい。今回の選挙結果で責任を問う声もありますが、一番悪いのは旧安倍派を含めた裏金議員ですから、僕には責任転嫁にしか見えないんです。自分の言葉で国会で答弁し、森友文書の開示に扉を開いた。石破政権には、もう少し続いてほしいです。

※7月27日(日)6時配信の「日刊ゲンダイDIGITAL」では、川中だいじさんのロングインタビュー全編を公開している。

  ◇  ◇  ◇

▽日本中学生新聞記者 川中だいじ(かわなか・だいじ)
2010年12月11日生まれ(14歳)、大阪市在住の中学3年生。主に選挙・大阪関⻄万博・IRカジノ・森友問題を取材。日本中学生新聞として、XやInstagramでの発信。note記事と不定期で紙の新聞を発行。文化放送『長野智子アップデート』やYouTubeメディア『ArcTimes』『デモクラシータイムス』などにも出演。2025年春より第1・第3土曜の18時に テレビ大阪ニュースYouTube『中学生記者・だいじの対談クラブ』配信中。

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