藤井青銅(作家・脚本家)
5月×日 拙著「ラジオな日々」の復刊をクラウドファンディングで行うと発表。売れない作家が小さな選書書店と組んでのチャレンジだ。
6月×日 山口亮子著「ウンコノミクス」(集英社インターナショナル 1045円)を読む。日本人は1日平均200グラム、イギリス人は100グラム、アメリカ人は150グラムというデータが面白い。ウンコだ。日本はウンコ排出大国だった!
令和の米騒動で食料自給率への関心が高まっている。農業だ。だが肥料がなければ農業ができない。そして肥料は輸入に頼っているのだ。食料自給率を上げるにはまず肥料自給率を上げる必要がある。その資源としてのウンコに注目した本。
肥料の三要素は窒素、リン酸、カリウム。このうちリン酸は中国からの輸入がほとんど。一方、国内の下水汚泥にはリン酸が大量に含まれているのにあまり利用されていないのだ。知らなかった。
6月×日 クラファンを発表した早々、朝日新聞出版が「ウチで文庫で出しましょう」と申し出てくれる! 誰かがどこかで見ていてくれるのだ。
6月×日 新田和長著「アーティスト伝説」(新潮社 2420円)を読む。フォークル、森山良子、忌野清志郎、小田和正……。現場でのプロ同士のエピソードにグッとくる。
いま私はラジオで毎週、森山良子さんに会っているのだが、あらためて尊敬の念が強くなる。
6月×日 クラファンの目標は3日で達成! ありがたい。秋に向け、朝日の文庫版とクラファンの愛蔵版が同時進行という出版界前代未聞の展開。
6月×日 NHKFMに書いたラジオドラマ「アーケード狂騒曲」の収録。練達の役者たちの会話のやりとりが心地いい。
6月×日 ハルキ文庫から出るもう1冊の本の打ち合わせ。架空のラジオ局を舞台にした連作短編集だ。実は20年前から少しずつ書いていたものが、ようやく本になる。ラジオ100年の今年、秋には私のラジオ小説本が2冊書店に並ぶことになるのだ。