大竹聡 大酒の一滴
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(18)ある日のブランチ
ラーメン屋で飲むのが好きだ。大した量を飲むわけではない。そもそも、店に入るときは、醤油にするか味噌にするか、餃子とチャーハンはどうするか、などと考えている。 それが、どうしたことだろう。席に…
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(17)行きつけのバーでの過ごし方
どれくらい通うと行きつけの店と呼ぶのだろう。初めて足を踏み入れてからの年数を基準とするか、週に一度とか月に一度など、出かける頻度を基準とするか。なかなか難しい問いなのだが、私は最近、その近くへ行けば…
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(16)今はなき国分寺の名店
東京を東西に走る中央線に乗って、ホッピーの飲める店を訪ね歩いたことがある。題して「中央線で行く東京横断ホッピーマラソン」。全32駅で下車して付近の店に飛び込み、ホッピーを飲んで歩いた。20年以上前の…
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(15)八王子のやきとり屋
八王子に、一軒のやきとり屋があった。関東に多い、豚モツを串刺しにして焼くやきとんではなく、文字通り焼き鳥の店だった。過去形で書くのは、今、その店があるのかどうかわからないからだ。京王線の高尾線に山田…
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(14)闇の中のともし火
東日本大震災から、今年で15年になる。震災の当日、私は、東京の奥多摩を歩いていた。奥多摩から東京湾の河口まで、多摩川沿いに酒を飲みながら歩く。そんな酔狂企画を実施していた。 奥多摩の地元の人…
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(13)好きな酒肴 その2
去年の12月、「古典酒場」編集長の倉嶋紀和子さんが講師を務める「よみうりカルチャー荻窪」にゲスト講師として招いていただいた。これまでいろいろな場所で飲み歩いて、その先々で出会った人々のことなど、とり…
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(12)好きな酒肴 その1
食の雑誌の鼎談企画で、好きな酒肴について話した。私以外のふたりは大食漢(ひとりは女性だが)であるが、私は酒を飲むときはあまり食べない。話が嚙み合わないのではと心配したけれど、始まってみれば、杞憂だっ…
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(11)寒造りの酒蔵にて
広島県安芸郡熊野町に、馬上酒造という小さな酒蔵がある。初めて訪れたのは、2023年の1月だった。そのときすでに蔵は発祥から130年を経ていた。 広島というと東京者の私から見れば南国のイメージ…
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(10)東京・銀座のハイボール
手間のかかった原稿をようやく書き切った。どっと疲れが出ていたが、こんなときこそ、飲みたくなるものだ。 早くから銀座へ出て、次の仕事の打ち合わせをするのに選んだ店は、2丁目、並木通りのビルに入…
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(9)東京の地酒
酒の季節がやってきた。いやいや、私にとっては1年365日が酒であるから、いつでも酒の旬ではあるが、ここで言いたいのは、寒くなって酒造りの季節も本番になってきたということだ。 今年は食米の価格…
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(8)京王線随一の焼き鳥
新宿と東京の南西部を結ぶ京王線の本線は、23区内を出ると調布市、府中市を過ぎ、多摩市をかすめて日野市、八王子市へと走る。私は、世田谷と調布の境を越えた仙川駅から2キロほど離れた公団住宅で生まれ育った…
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(7)マザーウォーターの畔で
スコットランドまで旅をしたのは2008年だから、もう17年も前のことになる。シングルモルトの蒸溜所を訪ねる取材旅行だった。 ちょっと贅沢な旅で、イギリス到着日はロンドンのホテルに泊まることが…
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(6)深夜のホットドッグ
旅仕事に出ると、必ずといっていいほど寄る店がある。常宿ならぬ常酒場である。仕事柄、出張中の仕事終わりは、夜もそろそろ更けかかる頃になる。疲れをとるには宿へ帰ってシャワーを浴びて、ベッドに横になるのが…
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(5)寿司屋で酒を飲む
寿司屋で酒を飲むことを覚えたのは30歳を過ぎた頃だった。父を病院に見舞った帰りのこと。東京郊外の辺鄙な街で、周囲に適当な酒場もなく、一軒だけ目に入った小さな寿司屋の暖簾をくぐったのだ。 ビー…
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(4)94年目のマンハッタン
大阪はミナミの「吉田バー」が、閉店した。昭和6年に千日前で創業し、戦後に難波で再開。昭和、平成、令和の三つの時代にまたがった店の歴史は94年を数えた。 私が訪ねたのは9月11日。閉店の1週間…
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(3)樽酒を飲みに行く
私は、東京の多摩地域の生まれで、今も住んでいる。新宿から私鉄の急行で30分かかり、駅からぶらぶら歩いて10分というあたりに家がある。浅草や北千住などで飲んだ帰りは、飲み屋のドアから家のドアまで1時間…
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(2)小倉の角打ちで飲む
北九州は小倉へ行き、来年で創刊20年になるPR誌「雲のうえ」の関係者と酒を飲んできた。この小さな雑誌は、北九州市を隈なく取材し、市井の暮らしを活写してきた。それと同時に時には歴史を紐解いてみせるとい…
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(1)蕎麦の汁で飲む
秋がきた。酒のうまい季節だ。野菜も魚も豊富になり、煮るなり焼くなり、煮込むなり、漬けるなり、さまざまに手をかけて、極上の酒の肴ができあがる。 11月になる頃から、たとえば蕎麦屋で飲むとして、…
