著者のコラム一覧
大竹聡ライター

1963年、東京都生まれ。早稲田大学第二文学部卒業後、出版社、広告代理店、編集プロダクションなどを経てフリーに。2002年には仲間と共にミニコミ誌「酒とつまみ」を創刊した。主な著書に「酒呑まれ」「ずぶ六の四季」「レモンサワー」「五〇年酒場へ行こう」「最高の日本酒」「多摩川飲み下り」「酒場とコロナ」など。酒、酒場にまつわるエッセイ、レポート、小説などを執筆。月刊誌「あまから手帖」にて関西のバーについてのエッセイ「クロージング・タイム」を、マネーポストWEBにて「大竹聡の昼酒御免!」を連載中。

(21)住宅街にある名酒場

公開日: 更新日:

 酒場は、たいてい、盛り場にある。巨大な繁華街ではないにしても、駅前の、商業の集積地にあることが多い。今はどこの駅前も、再開発、再々開発によって、商店街の面影もない。

 戦後の闇市の風情をとどめる、なんて触れ込みのところのなかには、いかにも作り物の、生身の匂いのしない街もある。人の息も汗も、煙草の煙さえ匂うことがない。そんな、街々に飽き飽きして何年になるか。

 結果として残る酒場遍歴はいいが、本来酒場は通うところであって、巡るところではない。全国の酒場を経巡ってものを書いてきた私が言うべきことではないかもしれない。けれど私は、初めての街で入る酒場を物色するとき、常に地元の人のいる酒場はここだとあたりをつけてきた。事前の情報はほぼ仕入れないまま、えいや、と入ってきた。調べておいた場所に行きつくより上等だと思っている。

 覗いてやろうと思うのではない。まして、仲間になろうなどと、思わない。静かに、少し、飲む。それで物足らなければもう一軒、行ってみればいい。旅人はそういう酒に少しばかりの時間を使うのがスジだと思う。

 この3年ほど、関西のバーを巡って思ったことを綴る連載を続けている。東京の酒場と比較したとき、会話の楽しさ、サービス精神の豊かさに、驚くべき違いがあることを、何度も感じてきた。それまでの私なら、初めての店では、異物にならず、ごく自然に飲めれば上等と思っていた。けれど、京都、大阪、神戸のバーを歩くうち、還暦すぎた私は、まだ破るべき殻があることを知ったのだ。

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