(26)神戸三宮の小舟
関西の食雑誌「あまから手帖」で、京都、大阪、神戸のバーを巡っている。3年半の連載で、40軒ほどのバーを訪ねてきた。京都、大阪、神戸それぞれに、行けば必ず寄りたい店がある。
神戸三宮の「ル バトー」はその1軒だ。女性バーテンダーが一人で切り盛りする小さなバーで、店名はフランス語で船を意味する。店のコースターには、神戸の港を漂う帆をかけた小舟が描かれている。
三宮はバーの密集地で、何度足を運んでも、そのたびに新しい店に遭遇する。そして、どの店にも個性があり、居心地がよく、洒落ている。こんな街、日本全国に、ここしかないと思う。だから飽きない。取材に出向くたびに、新しい店を知る喜びがある。
「ル バトー」の主は、「ベンネヴィス」というシングルモルトにほれ込んでいて、店にさまざまな「ベンネヴィス」を揃えるだけにとどまらず、いつぞやは、イギリス最高峰のベンネヴィス山に登ってきた。行動的で、面倒見がよく、頭の回転が超高速で、ときに会話についていけない。そこがおもしろくて、寄らずに帰ることができない。
今年に入ってから、もう2度、お邪魔をしている。2月に行った際には、すでに3軒目(この店に寄るときはたいてい3軒目くらい)だったが、まずは「余市10年」をいただき、その後、薦められて飲んだのが、石垣島のスピリッツ。サトウキビのジュースから造る蒸溜酒ということなので、ラム酒である。
















