(27)三河の島で魚三昧
初めて訪ねた街でうまい魚に出会うほど、楽しく、嬉しいことはない。ライター稼業30年の間には、そんな経験も数々してきた。
10年ほど前だったか。愛知県知多半島の突端の港から船に乗って、小さな島に渡った。日間賀島といって、歩いても苦もなく島一周ができるほどの小島であるが、ここは伊勢湾、三河湾の豊富な魚介に恵まれている。酒飲みライターの私がそんな島をふらりと訪ね、飲みかつ喰う、ああ、楽しからずや、という雑誌企画だった。振り返って、ずいぶんいい思いをさせてもらっている。
定期船に乗って島に着いてみると、意外に人が多い。修学旅行の学生の姿も見える。しばらく海っぷちを歩くと、港も静かだし、砂浜もあって、波は穏やかである。これなら小学生の夏の臨海学校などにも最適かと思った。実際、港の近くには、けっこうな規模の宿泊施設が並んでいた。
堤防へ行くと、釣りをしている爺さんがいた。何を釣っているのか訊いたけれど、答えが聞き取れなかった。港は入り江にあるが、少し沖へ出れば潮が流れている場所だから、ときには意外な大物も狙えるのかもしれない。
宿は料理自慢の民宿だった。漁師をしながら家族経営で民宿も営んでいる。釣りの客なども受けているらしい。
蒸し暑い季節だったが、部屋の窓を開けると海からの風が入って心地いい。夕食前にひと風呂あびて、さあ、飲もう。
いきなりワタリガニが出て度肝を抜かれ、次の石カレイの刺身は、コリっとした食感と噛むとにじみ出るうま味で迫ってきた。そして、大アサリとサザエのつぼ焼き。私は、こういうのに、目がない。たちまちにしてビールを飲み干し、宿がすすめる焼酎に切り替える。シンプルに水割りでいただく。
















