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大竹聡ライター

1963年、東京都生まれ。早稲田大学第二文学部卒業後、出版社、広告代理店、編集プロダクションなどを経てフリーに。2002年には仲間と共にミニコミ誌「酒とつまみ」を創刊した。主な著書に「酒呑まれ」「ずぶ六の四季」「レモンサワー」「五〇年酒場へ行こう」「最高の日本酒」「多摩川飲み下り」「酒場とコロナ」など。酒、酒場にまつわるエッセイ、レポート、小説などを執筆。月刊誌「あまから手帖」にて関西のバーについてのエッセイ「クロージング・タイム」を、マネーポストWEBにて「大竹聡の昼酒御免!」を連載中。

(23)瀬戸内の美味を想う

公開日: 更新日:

 東京の郊外に生まれ育った私は、東京都以外に住んだことがない。もともと出不精ということもあるが、酒と酒場を歩くライター稼業を初めて33年になる今も、1泊過ごしたことのない県が4県残っている。ちなみに、どこかというと、福井、島根、三重、徳島の4県だ。

 取材の頻度によるのだが、もっとも多く足を運んでいるエリアは関西。西では次が九州で、中国・四国エリアになると旅をした回数はぐっと少なくなる。

 もう10年以上前のことだが、東海道山陽新幹線の「こだま号」に乗り、各駅で下車しては、酒を飲んで歩いたことがある。新幹線の車内で配布されている「ひととき」という雑誌での、3年以上に及ぶ連載だった。

 このとき、兵庫県の神戸より西、岡山県、広島県、山口県まで、瀬戸内沿いの街を巡った。駅でいうと、西明石から下関までの16駅。以前、当欄でも触れた西明石の寿司屋で瀬戸内の魚介のうまさを知った私だったが、その後、岡山でも、うまい魚と酒に酔いしれた。出かけたのは2016年の2月の終わりだから、ちょうど10年前の今頃である。

 1月に周辺を下見して調べておいた一軒の割烹に入った。「一文」という、紺ののれんがきれいな料理屋だ。

 サワラのいいのがあるという。関東育ちの私は、サワラという魚をあまり知らなかったが、この何年か前に、寒い時期の北九州の寿司屋で食べて以来、ファンになっていた。聞けば、岡山では、サワラをよく食べるという。

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