(19)真冬の蕎麦屋酒
ひと昔前、多摩川の岸に沿いながら下り、ところどころで酒を飲む散歩をしていた。ある日、奥多摩駅から歩き始め、2~3駅分の区間を歩いては、飲める店を探すか河原に下りて、酒を飲んだ。
東日本大震災の年に歩き始め、しばらく中断して、2015年ごろ再開し、翌2016年の初夏までかけて、川崎市の多摩川河口まで歩いた。春夏秋冬、さまざまな季節に歩き、歩き疲れては少し酒を飲みながら景色を眺めた。
一回一回がごく短い旅で、見知らぬ道、町、店、人々の暮らしを、覗き見るようで、ちょっと後ろめたいような、それでいて痛快な気分も味わった。
南武線の登戸駅の近くを歩いたのは10年ほど前のことだ。駅前の再開発が始まっていて、古い渋い飲み屋さんが、このままなくなってしまうのではないかと気になった。
ふらりと入った蕎麦屋で、しばらく飲んだ。蕎麦屋酒の定番、出汁巻き玉子に瓶ビールを添えた。寒い季節だったが、河原を歩いてきたから、喉が渇いていて、冷たいビールがとてもうまく感じられた。















