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大竹聡ライター

1963年、東京都生まれ。早稲田大学第二文学部卒業後、出版社、広告代理店、編集プロダクションなどを経てフリーに。2002年には仲間と共にミニコミ誌「酒とつまみ」を創刊した。主な著書に「酒呑まれ」「ずぶ六の四季」「レモンサワー」「五〇年酒場へ行こう」「最高の日本酒」「多摩川飲み下り」「酒場とコロナ」など。酒、酒場にまつわるエッセイ、レポート、小説などを執筆。月刊誌「あまから手帖」にて関西のバーについてのエッセイ「クロージング・タイム」を、マネーポストWEBにて「大竹聡の昼酒御免!」を連載中。

(19)真冬の蕎麦屋酒

公開日: 更新日:

 ひと昔前、多摩川の岸に沿いながら下り、ところどころで酒を飲む散歩をしていた。ある日、奥多摩駅から歩き始め、2~3駅分の区間を歩いては、飲める店を探すか河原に下りて、酒を飲んだ。

 東日本大震災の年に歩き始め、しばらく中断して、2015年ごろ再開し、翌2016年の初夏までかけて、川崎市の多摩川河口まで歩いた。春夏秋冬、さまざまな季節に歩き、歩き疲れては少し酒を飲みながら景色を眺めた。

 一回一回がごく短い旅で、見知らぬ道、町、店、人々の暮らしを、覗き見るようで、ちょっと後ろめたいような、それでいて痛快な気分も味わった。

 南武線の登戸駅の近くを歩いたのは10年ほど前のことだ。駅前の再開発が始まっていて、古い渋い飲み屋さんが、このままなくなってしまうのではないかと気になった。

 ふらりと入った蕎麦屋で、しばらく飲んだ。蕎麦屋酒の定番、出汁巻き玉子に瓶ビールを添えた。寒い季節だったが、河原を歩いてきたから、喉が渇いていて、冷たいビールがとてもうまく感じられた。

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