(12)好きな酒肴 その1
食の雑誌の鼎談企画で、好きな酒肴について話した。私以外のふたりは大食漢(ひとりは女性だが)であるが、私は酒を飲むときはあまり食べない。話が嚙み合わないのではと心配したけれど、始まってみれば、杞憂だった。
深酒した翌朝にとんかつを食べる人もいれば、鱈入りの湯豆腐さえあれば冬の間は毎晩でもいいという私もいる。その極端な違いに、むしろ笑いが起こったのである。
飲むときは食べない。昔からその傾向にあり、人にもそう言い続けてきたが、好きな酒肴がないわけではない。事実、この鼎談の最中にも、あれも好き、これも好きと喋るうちに、実は好みの酒肴が少なくないことに気づいた。

















