著者のコラム一覧
大竹聡ライター

1963年、東京都生まれ。早稲田大学第二文学部卒業後、出版社、広告代理店、編集プロダクションなどを経てフリーに。2002年には仲間と共にミニコミ誌「酒とつまみ」を創刊した。主な著書に「酒呑まれ」「ずぶ六の四季」「レモンサワー」「五〇年酒場へ行こう」「最高の日本酒」「多摩川飲み下り」「酒場とコロナ」など。酒、酒場にまつわるエッセイ、レポート、小説などを執筆。月刊誌「あまから手帖」にて関西のバーについてのエッセイ「クロージング・タイム」を、マネーポストWEBにて「大竹聡の昼酒御免!」を連載中。

(30)河川敷のビールはうまし

公開日: 更新日:

 外で飲むのが好きだ。屋外という意味だが、私は決してアウトドア派ではない。山登りも魚釣りも、好きだが、熱心にはやらない。というより酒以外に趣味というものがない。酒のこと、酒を飲んだときのこと、あれこれ書いて飯を食ってきたから、飲むのも純粋な趣味ではない。毎日酒を飲むにしても、仕事が勝っているような時期もあった。

 ということで、無趣味な男である。日々をいかに過ごすかという点においてなんとも無気力な人間だが、ひとつ、ぶらぶら歩くことは割りと好きかもしれない。しかしながら歩くにしても、ウオーキングなんてものではない。ただのそぞろ歩き。そして、歩く途中で、少し飲む酒を、愛している。

 5月は、散歩酒にうってつけの季節だ。空は晴れ気温もほどよく、風薫る5月である。川べり歩けば河川敷や土手の草も青々として、目に清々しい。

 ある年の5月。多摩の自宅から南武線で武蔵小杉へ出て、そこからぶらぶら歩いた。途中丸子橋を渡る前のコンビニでビールと水と揚げ餅を買った。

 橋の手前は川崎市、向こうは東京都。住所で言うと、大田区田園調布本町のあたり。川べりが緑地になっていて、木陰にシートを敷いてピクニックを楽しむ家族の姿があり、岸には、釣り糸を垂れる父子の姿も見えた。彼らから少し離れたところに、私も腰を下ろす。リュックに入っていたスポーツ新聞を敷き、横になれば、風が撫でる河川敷の草がかすかに匂う。青臭い、夏の匂いだ。

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