著者のコラム一覧
大竹聡ライター

1963年、東京都生まれ。早稲田大学第二文学部卒業後、出版社、広告代理店、編集プロダクションなどを経てフリーに。2002年には仲間と共にミニコミ誌「酒とつまみ」を創刊した。主な著書に「酒呑まれ」「ずぶ六の四季」「レモンサワー」「五〇年酒場へ行こう」「最高の日本酒」「多摩川飲み下り」「酒場とコロナ」など。酒、酒場にまつわるエッセイ、レポート、小説などを執筆。月刊誌「あまから手帖」にて関西のバーについてのエッセイ「クロージング・タイム」を、マネーポストWEBにて「大竹聡の昼酒御免!」を連載中。

(20)私に酒を教えてくれた人

公開日: 更新日:

 名バーテンダー、大泉洋さんが亡くなった。91歳、大往生だ。

 渋谷109の8階に「コレヒオ」を開いたのが1991年、私は90年代の終わり近くになって、初めて店を訪れた。私は30代の半ばで、大泉さんは、今の私(この春で63歳になる)の年回りだった。昭和ひとケタ生まれの大泉さんは、私の父と同世代なのだ。

 私はその、渋谷の父に、酒を教わった。大泉さんはバーテンダーになりたての頃、赤坂のホテルにあったアメリカ軍将校クラブでオフィサーたちを相手にバーテンダーの仕事を学んだ。その後、ホテルニューオータニに移り、会員制クラブの支配人を最後に退社し、独立した。

 それが、ギャルたちが集まる渋谷109にあった「コレヒオ」だ。店は後に移転して「コレオス」と名を変えるのだが、移転先はセンター街だった。マルキューとセンター街。私には無縁の場所だったが、「コレヒオ」と「コレオス」にだけは顔を出した。

 銀座にも、六本木にも、青山にも、浅草にもない、独特のバーだった。米軍の将校を英語で接客し、その後は一流ホテルの客をもてなして経験を積んだ大泉さんは、57歳で独立するとき、渋谷を選んだのだ。そのこと自体が、とてもおもしろかった。なにしろ、ギャルと一緒にエレベーターに乗るのである。中にはジロジロ見てくる子もいて、オジさんは困惑するのだけれど、8階までたどり着いて「コレオス」の扉を開けると、そこは、大人の空間だった。

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