インフレ下のニッポン財政(2)「正しさ」を主張する議論が招いた「35年の停滞」
「日本経済はなぜ沈下したのか」伊藤修著
インフレが激しい、税金が高いと生活を取り巻くおカネは悩ましいことばかり。果たしてニッポン財政はどうなるのか。
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「日本経済はなぜ沈下したのか」伊藤修著
バブルが崩壊してこれで35年。その間、日本経済は沈むばかりだった。いまのインフレも財政が立て直されたからでないのはアベノミクス失敗論からもわかることだ。本書は小泉内閣時代の2005年にまとめられた「日本21世紀ビジョン」の報告書の話から始める。ここで「避けるべきシナリオ」とされた労働人口減少による生産縮小や格差の固定化、国際的存在感の低下などはすべて当たり。他方、当時の新自由主義な見方が推進した市場競争とコスト削減依存が蔓延した結果、貧困化や非正規雇用の激増、格差の拡大などが生まれたのだ。コストを削りに削ったあげく、市場は縮み、非正規が激増したおかげで少子化が促進され、配当が8倍になったのに投資は増えなかったのだ。企業の現場は頑張ったのにイノベーションは止まってしまい、国際競争力はあっという間に中国に抜かれたのである。
埼玉大名誉教授の著者はこれを「正しさ」を主張する議論が招いた「35年の停滞」と呼ぶ。最終章では「再構築を考える」として、「横並びの消極主義」からの脱却や、消極的な文教=研究教育政策が起業のリスクを高めて「全体の足を引っ張るボトルネック」となっている現状に強い警告を発している。 (朝日新聞出版 1100円)


















