軍事と戦争(2)戦史研究家が鳴らす、軍備拡大と世論の暴走への警鐘
「戦争を甘く見る空気」山崎雅弘著
「戦争を甘く見る空気」山崎雅弘著
戦後すでに81年。平和国家ニッポンの建前はなんとか守られているものの、ウクライナにガザ、さらに東アジア情勢の緊迫化など、国際関係も日本を取り巻く状況も緊張の度合いを増しているのは間違いがない。この中で「自国の軍備増強と戦争準備に繋げようという動きが、日本の政財界や一部のメディアにも見受けられます」という本書。著者は戦史・紛争史研究家。前著「日米軍事近現代史」に続く本書は「1930年代と似た道を進む現代日本」(副題)に警鐘を鳴らす。1937年には中国に駐留し演習中の日本軍に中国兵が発砲したことを口実に、日本軍が盧溝橋事件(日華事変の始まり)を起こす。この前年には二・二六事件が国内で起こっており、まさにこの情勢下で日本の戦争は始まったのである。
当初は小競り合いの銃撃戦でしかなかったものが本格的な戦争に至ったのは日本軍の過信や近衛内閣の政治的アピールが背景。しかし本書は当時の社会の空気に注目する。人々は目先の空気や周囲の人間関係ばかり気にして中国を蔑視。そのさまはまるでスポーツ観戦のようだったと著者はいう。歴史に学び、現代を戒める。 (朝日新聞出版 1045円)


















