無謀な戦争の末路(2)参謀本部の恐れから無謀な特攻作戦に
「戦艦『大和』最期の新証言」池田遼太著
アジア・太平洋戦争が無謀な戦争だったことは今日では明らか。しかしどう無謀だったのか、なぜ無謀だったのかは認識不足のままだ。
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「戦艦『大和』最期の新証言」池田遼太著
戦艦大和に関して長年の研究を重ねた戦史家の原勝洋氏。昨年亡くなったが、故人から極秘の資料を託されたのが今年28歳の若さの本書の著者。晩年の原氏に弟子入りし、5年の研鑽を積んで山本五十六についての最初の著書を出版したのち、資料を託されたという。
合計36本にもなるカセットテープに録音されていたのは主に海軍参謀部の軍人たち。大和は沖縄特攻作戦に駆り出されて撃沈したが、その作戦は玉砕を覚悟した参謀部の高級将校たちが命じたものだった。彼らはいずれも物故して真相を尋ねることはできない。ところが原氏は彼らのもとを訪ねて大和に最後の命令を下すまでの決定過程をくわしく尋ねており、その貴重なテープが若い著者の手元に届いたわけだ。
著者は綿密にテープを聞きこみ、一部は参謀部内の会話を再現ドラマのように描きながら事の真相に迫る。特に特攻作戦(天一号作戦)を決めた連合艦隊首席参謀の神重徳大佐の心理を解こうとする。
大和の最期はこれまで「一億総特攻の魁」たらんという伊藤整一艦隊司令のことばで語り継がれてきたが、著者はテープの証言とそのほかの資料からこの美談を疑う。参謀部は日本の敗戦を覚悟していたが、大和がアメリカの手でさらしものにされるのを何より恐れた。その心理が戦艦で特攻するという無謀な作戦へと向かわせたのだ。
(光文社 1210円)


















