スズキが最安値での軽EV発売を発表 “2台目需要”を掘り起こす日中自動車メーカーの熾烈
航続距離は300キロに突入
日本と中国を交えた主役争いはどこへ向かうか。横田氏に聞いた。
「ラッコが狙っているのは、ホンダ『N-BOX』やダイハツ『タント』などで人気のスーパーハイトワゴンと呼ばれるジャンルです。全高1700ミリを超える大きな室内と後部座席のスライドドアが特徴で、ラッコのデザインもまさにそれ。一方、スズキ『eスカイ』は、同社のスローガンである『小・少・軽・短・美』をふまえ、『ワゴンR』のベーシックな機能とデザインを受け継いでいます。2つのクルマのコンセプトがまったく異なるため、ユーザーのすみ分けはできるのではないでしょうか」
「ラッコ」は3グレード構成で最安値は214万円と、7月の発売当時は軽EVの最安値だった。「eスカイ」の最安値グレードはそれを2万円下回る軽EVの最安値に設定した。国の補助金は国産に手厚いため、補助金利用後の価格は「eスカイ」はじめ国産車に有利だが、スズキがBYDを少なからず意識していることは明らかだろう。
実は、eスカイは駆動装置を内製したが、電池はBYD製だ。ムダを徹底的に排除するスズキのものづくり精神で車両重量をラッコより軽量化することでフル充電の航続距離310キロを実現したが、ラッコの上・中級は同320キロとeスカイを上回る。
「航続距離が300キロあれば通勤や通学、子供の送り迎え、買い物には困りません。かといって帰省や旅行などのロングドライブには、心もとない性能です。逆にいうと、街乗りというか毎日の足としての使い方には軽EVがピタリとハマります。狭い街路や農道などで小回りが利くのもいいでしょう。全国的にガソリンスタンドが減少し、ガソリン価格も国際情勢で波乱含みですから、軽EV市場は間違いなく盛り上がる」
BYDが狙うスーパーハイトワゴンはダイハツ「タント」が開拓した車種で、ダイハツも黙っていないだろう。一方、軽EV市場を引っ張ってきた日産「サクラ」は航続距離180キロが見劣りするだけに、当然、電池性能を上げてくるはずだ。ホンダ「N-ONEe:」も含めて軽EV市場が活性化するのは間違いないだろう。
そんな中、普通車と小型車における6月のEV販売台数は前年同月比286%と急増。6月までの半年の累計で早くも昨年通年を約1万1000台以上も上回った。電池性能の改善による航続距離の延長や価格の低下などでEVに目を向ける人が増えているだけに、2台目の軽EVは十分検討の余地がありそうだ。
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