「珈琲怪談」恩田陸著

公開日: 更新日:

「珈琲怪談」恩田陸著

 音楽プロデューサーの塚崎多聞と、作曲家の尾上、外科医の水島、検事の黒田の4人は定期的に集まり、喫茶店をハシゴしながら順に怪談を披露していく「珈琲怪談」を開催している。ひとつの店で1人の話者がエピソードを語り、次はまた店を変えてから、がお約束だ。

 夏の京都に4人が集まった。風のないじりじりと焼けるような「油照り」の中を歩き、2軒目に選んだのは二条城近くのこぢんまりした店だった。水島が語りだした。友人が、熊が三角形のターコイズの石を背負っている置物を買った。その夜、大きな茶色い熊がうなだれて立っている夢を見た。3度目の夢では、熊の背中のターコイズの石の上に袱紗がのっていた。それから少しして、友人は、竜巻に巻き込まれた伯父を見舞う。彼の背中には、袱紗のような紫色のあざができていた……。

 京都や横浜など各地を行脚し、「ようこそ、珈琲怪談へ」と宣言して始まる、男だけの怪談ツアー物語とでも言おうか。語られるのは心霊噺というより、「なくしても戻ってくる傘」「家主の死と同時に花が散った」など日常に潜むヒヤッとする怪異だ。著者の実話というだけあってリアリティー満点。多聞シリーズ第3作の連作短編集。

(幻冬舎 1980円)

【連載】木曜日は夜ふかし本

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ前監督・吉井理人氏が佐々木朗希を語る「“返事もしなかった頃”から間違いなく成長しています」

  2. 2

    矢沢永吉ライブは『永ちゃんコール』禁止で対策も…B'z『客の大熱唱』とも通じる“深刻な悩み”

  3. 3

    ロッテ前監督・吉井理人氏が大谷翔平を語る「アレを直せば、もっと良く、170kmくらい投げられる」

  4. 4

    阿部監督のせい?巨人「マエケン取り失敗」の深層 その独善的な振舞いは筒抜けだった

  5. 5

    藤川阪神の日本シリーズ敗戦の内幕 「こんなチームでは勝てませんよ!」会議室で怒声が響いた

  1. 6

    オコエ瑠偉 行方不明報道→退団の真相「巨人内に応援する人間はいない」の辛辣

  2. 7

    ロッテ前監督・吉井理人氏が2023年WBCを語る「大谷とダルのリリーフ登板は準決勝後に決まった」

  3. 8

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  4. 9

    ドラマー神保彰さん ミュージシャンになるきっかけは渋谷109オープンだった

  5. 10

    ロッテ吉井理人監督の意外な「激情時代」 コーチの延々続く説教中に箸をバーン!殴りかからん勢いで…