「珈琲怪談」恩田陸著

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「珈琲怪談」恩田陸著

 音楽プロデューサーの塚崎多聞と、作曲家の尾上、外科医の水島、検事の黒田の4人は定期的に集まり、喫茶店をハシゴしながら順に怪談を披露していく「珈琲怪談」を開催している。ひとつの店で1人の話者がエピソードを語り、次はまた店を変えてから、がお約束だ。

 夏の京都に4人が集まった。風のないじりじりと焼けるような「油照り」の中を歩き、2軒目に選んだのは二条城近くのこぢんまりした店だった。水島が語りだした。友人が、熊が三角形のターコイズの石を背負っている置物を買った。その夜、大きな茶色い熊がうなだれて立っている夢を見た。3度目の夢では、熊の背中のターコイズの石の上に袱紗がのっていた。それから少しして、友人は、竜巻に巻き込まれた伯父を見舞う。彼の背中には、袱紗のような紫色のあざができていた……。

 京都や横浜など各地を行脚し、「ようこそ、珈琲怪談へ」と宣言して始まる、男だけの怪談ツアー物語とでも言おうか。語られるのは心霊噺というより、「なくしても戻ってくる傘」「家主の死と同時に花が散った」など日常に潜むヒヤッとする怪異だ。著者の実話というだけあってリアリティー満点。多聞シリーズ第3作の連作短編集。

(幻冬舎 1980円)

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