「不等辺五角形」貫井徳郎著
「不等辺五角形」貫井徳郎著
20年以上の付き合いがある5人の男女が、久しぶりに再会したことをきっかけに物語が始まる。
当事者となったのは、インターナショナルスクールの同級生、重成、聡也、梨愛、夏澄、雛乃。ウガンダに赴任することが決まった重成の送別会をするため、葉山にある聡也の別荘に集まり、互いに打ち解けた楽しい時間を過ごしたはずが、深夜に雛乃が頭から血を流して倒れている姿で発見されたのだ。
しかも梨愛が自ら「雛乃を殺しちゃった」と言い、警察に連行されてしまった。幼馴染み同士で、なぜこんなことが起きたのか。肝心の梨愛は無言を貫き、面会も拒否して詳細を語らない。残された3人は、混乱しつつも梨愛の弁護士に事件当日の様子と、それぞれがどのような関係だったのかについて語り始めるのだが……。
「慟哭」「乱反射」「私に似た人」などの話題作で、ミステリー界を震撼させた著者の最新作。弁護士が関係者の証言を何度も聞くなかで、お互いが見えていなかった思惑や誤解など複雑な関係性が見えてくる。ラストで口の重かった梨愛から証言が得られたとき、驚きの真実が浮かび上がってくる。 (東京創元社 1980円)