「SEX20億年史」デイヴィッド・ベイカー著 染田屋茂訳

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「SEX20億年史」デイヴィッド・ベイカー著 染田屋茂訳

 38億年前に生命の起源が起き、長い間、微生物は無性生殖で自分のクローンを作成するだけだった。しかし、その18億年後、地球全体が凍結する「スノー・ボール」現象が起き、微生物はDNAを守るため細胞内の核に保持する真核生物となった。過酷な環境下でも子孫が生き残れるように、互いのDNAを融合させ、生存の可能性の高い突然変異を生み出したという。これがセックスの起源といわれ、こうして性の進化がスタートした。

 やがて1億2500万年前に人類の系統における最初の外性器が徐々に進化、さらに白亜紀大絶滅後、メスのクリトリスが「オープンエア型」の突起になったことで快楽を得られるようになったのだ。人類の祖先が二足歩行になると柔軟なペニスによってさまざまな体位が可能になった。

 セックスをゼロから探求し、人間の多様な性行動がどのようにして生まれたのか、衝動や性的愛着がどうして現在のようになったのか、人類の進化の系統樹をたどった「セックス大年代紀」。一つ一つ丁寧に追うセックス史上の重大事件は、まさに人類の歴史そのもので、ページをめくるたび進化の絵巻物が披露されるよう。現在、セックスは自由化されたが、皮肉なことに人々が深い孤独を感じているという指摘が興味深い。

(集英社 3300円)

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