「リペアラー」大沢在昌著

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「リペアラー」大沢在昌著

 有名な占い師を祖父に持つイラストレーターの五頭想一は、ある日、友人でノンフィクション作家のミヤビから、知人から受けた仕事を手伝ってほしいと頼まれた。40年前に六本木のビルの屋上で発見された身元不明の男性を調べるというもので、当時警察は事件性なしと判断、「行旅死亡人」扱いとなっていた。

 調査を始めた2人は現場となった六本木のローズビルで聞き込みを開始。当時ビルに住んでいた女性占い師から確かに死体を見たこと、501号室にアメリカ人男性デニスがいたとの情報を得る。

 やがてデニスを糸に銀座の経営者、ジャズバーのママとその叔母、そしてデニス本人とビルのオーナー岩田にたどり着く。しかしデニスは、事件のことは記憶にない、の一点張り。そんな中、かつてデニスが勤めていた加州交易の経営者が岩田だったと知る。果たして加州交易は何の会社だったのか。そしてなぜ岩田とデニスは他人のフリをするのか……。

 若いコンビが、古い事件の謎に挑むタイムスリップ・エンターテインメント。後半、年を取らないビルのオーナー・岩田を追ううち、2人は日本とアメリカの国防に関係する機密にたどり着く。意表を突く展開と、タイトルが意味する結末まで大波乱の物語だ。

(KADOKAWA 2310円)


【連載】木曜日は夜ふかし本

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