山崎ナオコーラ(作家)自分たちの生きる能力の低さを実感
8月×日 地上波でも放送が始まった人気ドラマ「団地のふたり」の原作の、スピンオフ絵本。文・藤野千夜、絵・北澤平祐「団地のさんにん」(U-NEXT 1760円)。
子どもたちのほんわかとした日常が描かれる。大人になるのがふたりだと知っている読者にとっては少し切ないが、子ども時代は確かに3人だったし、これが世界なのだ、と思う。
8月×日 スコットランドで開かれた「エディンバラ国際ブックフェスティバル」に参加した。私が書いた小説の2冊が英訳されてイギリスで出版されたので、その翻訳者さんたちとトークイベントをしたのだ。中学英語程度しかできない私だったが、意外となんとかなる。バッジュ・シャーム著「ロンドン・ジャングルブック」(三輪舎 3080円)は、インドのものすごく田舎の村で暮らす画家が、英語が話せないままロンドンへ行き、レストランの壁に絵を描く仕事をするドキュメンタリー。英語が話せなくてもどこにでも行けるのだ。
9月×日 世田谷文学館で朗読&販売イベントがあった。中島京子さんも登壇されて、「夢見る帝国図書館」(文藝春秋 891円)の一部を読み上げていらっしゃった。上野の「国際子ども図書館」の前身の、帝国図書館が、国に予算を削られたり、戦争の中で不必要と判断されたりする中、生き残っていく。棚の中だけでなく、図書館自体にも物語がある。
9月×日 小学生2人と、夫と一緒に、「親子デイキャンプ」というものに出かけた。8組の親子がいて、それぞれ焚き火をしながらチキンのトマト煮を作って食べるというイベント。他の家族たちはどんどん作るが、我々だけ、2時間経っても火さえ着かない、という状況だった。その後、教えてもらって無事に食事はできたのだが、自分たちの生きる能力の低さを実感した。川内イオ著「煮魚をつくったら、人生の悩みがじわじわ消えた」(大和書房 1870円)は、40代に入った著者が、父親として、炊事や洗濯などの家事に目覚め、活力に満ちて生きていく様をつづったエッセー。



















