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武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

ケガだけじゃない…時代とも闘い続けた錦織圭の終幕

公開日: 更新日:

 両手打ちはかつて、非力な女子選手のスタイルだった。芝からハードコートへ、用具の開発に伴うパワー時代到来で、両手打ちの台頭は必然だっただろう。変わったのはプレーだけではない。

 センサーの出現でネットタッチを判定する副審は消え、最大9人のラインジャッジもいなくなり、ショットクロックがサーブをせかし、皆でチャレンジ映像を見上げ……キング夫人の時代は、コートチェンジに腰かけるベンチもなかったという。選手は時代とも闘うのだ。

 錦織は引退会見で「ケガとの闘いでした」と振り返った。

 いまや身長195センチの時代だが、錦織は178センチ。技術とセンスでパワーに立ち向かうには展開勝負になり、試合は長引く。錦織は4大大会とデ杯の5セットマッチで29勝(8敗)した。

 ジョコビッチの40勝(11敗)に次ぐ勝ち星はファンを魅了した一方で、肉を切らせて骨を断つ戦術がケガを招いた。

 デ杯が3セットに短縮されたのは錦織の体がボロボロだった2019年からだ。いま、4大大会のセット短縮も俎上に載っている。時代がもう少しズレていれば……。

 それにしても、5セットマッチでの高い勝率に気付いたのはキャリア終盤の6年ほど前だったという。いかにもおおらかな錦織らしい。

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