北陸最大の観光都市・金沢駅の「みどりの窓口」が大混雑、平日11時で32組待ち…現場で見えてきた順番待ちが減らない構造的問題
中途半端な仕様の券売機が混雑に拍車
実は券売機の問題はまだまだある。なにしろ、窓口にあるマルスという機械のように、すべての切符を発券できるわけではないのだ。シンプルな片道切符や往復切符であれば簡単だが、複雑な経路の切符は券売機で発券できないことが多い。あろうことか、何ができて、何ができないのか、JRの職員でも十分に把握していないことが多いのが厄介である。
購入が難しい切符の筆頭が、東京駅発東京駅行きの切符だ。すなわち、東京駅を出発し、ぐるっと大回りをして東京駅に戻ってくる切符である。鉄道ファンの間では“一筆書き切符”ともいわれる。新幹線をメインで使うルートなら発券できないこともないが、ローカル線をいくつも絡めると券売機はお手上げで、窓口に行く必要が出てくるのだ。
また、発売直後に売り切れることも多い人気の寝台特急「サンライズ出雲」の個室の寝台券なども、購入できない。切符の乗車変更もできないことが多い。例えば、東京駅から新大阪駅行きの新幹線の特急券を乗車変更するとしよう。新幹線に乗車する時間を後の時間にするなど、同じルートの切符であれば簡単に変更できる。
ところが、新幹線の特急券を寝台特急や一般的な特急の特急券に変更するケースは、できないケースが多いようだ。こうした乗車変更は、すべて窓口では問題なくできる。未だに、窓口のシステムが極めて優秀といわれるのはそのためだ。
■周辺の在来線が第三セクターになり…
券売機が、完全に窓口の機能を代替しているのであれば、誰も文句を言わないだろう。おそらく、鉄道ファンなどは券売機を優先し、窓口には並ばないのではないか。しかし、すでに述べたように、現状では窓口の代替手段になっていない。システムが不十分のまま窓口の削減ばかりを優先したため、現在のような混雑を招いているといってもいいかもしれない。
金沢駅の周辺の駅から、窓口がなくなってしまったことも問題だろう。2015年の北陸新幹線の金沢駅延伸に合わせて、それまでJRの管轄だった在来線の北陸本線が第三セクターのIRいしかわ鉄道に移管された。この時点で近隣の駅はJRではなくなったため、それまでこれらの駅にあった窓口が一気に消滅してしまった。
その後、2024年に北陸新幹線が敦賀駅まで延伸されると、金沢駅の西側の北陸本線がIRいしかわ鉄道や、ハピラインふくいなどの三セク会社に移管された。かくして、みどりの窓口が北陸地方から相当数なくなってしまった結果、窓口が残る金沢駅に人が集中する結果になり、さらに外国人観光客などの増加で混雑に拍車がかかったといえる。
来年は国鉄民営化から40周年。鉄道は便利になったのか
周辺の窓口が閉鎖されたため、窓口がある駅の窓口が異様に混雑する--。これは埼玉県のターミナル・大宮駅などでも起こっている現象といえる。しかし、金沢駅と大宮駅で決定的に違うのは、金沢駅はとにかく観光客が多いということだ。鉄道を使い慣れていない人が少なくなく、余計に対応に手間取っているのは間違いないだろう。
観光地の場合、急な予定変更は珍しくない。指定席をとった列車を乗り逃したり、災害で列車が遅延したりするトラブルもあるだろう。そのため、金沢駅のような観光の拠点は、他の県庁所在地や首都圏の駅よりも駅員の手が必要になる場面が多いといえる。
日本は現在、観光立国を推進し、外国人観光客の受け入れを国策として進めている。旅行の際、外国人観光客は慣れていない日本の鉄道システムを利用することになる。外国人にとって、現在の過度なまでの窓口削減は大問題であり、“お・も・て・な・し”の精神に逆行することではないか。
来年2027年は、国鉄民営化から40年の節目の年。民営化されたJRグループ各社は不動産などの運用を進めて利益を上げているが、その利益を鉄道サービスに十分に還元しているようには思えない。特に窓口に関しては国鉄時代より不便になった印象を受ける。何のために国鉄民営化が進められたのか。40年を前に、その意味を今一度考えるべきかもしれない。
(取材・文=宮原多可志)
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