週間読書日記
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下重暁子(作家)
5月×日 1月に書下ろしの新書「明日死んでもいいための44のレッスン」(幻冬舎 924円)が出て以来、続けざまに1、2ヵ月に1冊の割合で拙著が本屋に並ぶ。それを見て「忙しいでしょう?」といわれるが、た…
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吉川英梨(作家)
6月×日 先日、書店でとある本に目が釘付けになった。海野弘氏解説・監修の「366日 物語のある絵画」(パイ インターナショナル 2860円)という本だ。神話から宗教画、古典作品の物語絵が366枚紹介さ…
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畑中章宏(民俗学者)
5月×日 書き下ろしの新刊を立て続けに出そうとしているものだから、資料・史料の渉猟的な読書にしか時間が取れない。そうこうしているうちに、どうしても読んでおきたい新刊が発売される。読み始めると眼の前の仕…
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香山リカ(作家・精神科医)
5月×日 安倍政権時代には“やられっ放し”だったマスメディアが、ちょっとだけ変わってきたのを感じる。たとえば、毎日新聞は中心に「入管・難民問題」という特集班を組み、入管収容中に亡くなったスリランカ人女…
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高嶋哲夫(作家)
5月×日 「歴史より学べ」去年と今年ほど、この言葉を噛み締める年はなかった。 コロナに明けコロナに暮れる日々が続いている。頼みはワクチンだが、数、接種方法、人員、接種者の意思確認に至るまでトラ…
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沢野ひとし(イラストレーター・エッセイスト)
4月×日 人は好きなものを見つけると、歓喜して追いかけて行く。和田靜香、金井真紀の美女コンビは腰を落とし、摺り足で「世界のおすもうさん」(岩波書店 1980円)に迫って迫った。 私のようなジジ…
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タブレット純(歌手・タレント)
4月×日 ぼくが在籍しておりました「和田弘とマヒナスターズ」は嘗ては華やかなスターバンド…だったはずながら、それは昭和のおとぎ話でのこと。イブシまくったその銀の背中、いや、シッポに乗れたことは大変光栄…
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上野誠(國學院大學文学部教授)
4月×日 29年勤めた奈良大学から、國學院大學に移籍してはじめての授業。私の第一声は、俺も文学の楽しさを語るから、君たちも授業を楽しみなさい、と語った。だから、私は、時に、柿本人麻呂になるぞ、と言い放…
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桜木紫乃(作家)
3月×日 長編を2本同時進行で書く、という昨年の目標完遂。「俺と師匠とブルーボーイとストリッパー」(過去最高に長いタイトル)を発刊し、「緋の河」もラストを書き終えた。そして人生の褒美のように、絵本「い…
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篠田節子(作家)
3月×日 令和2年度芸術選奨マスコミ発表解禁日。某全国紙に芸能部門受賞者の名前はあるのに、文学部門は無い。前日発表のY川E治文学新人賞の方は写真入り狂騒状態だったというのに。 で、大手マスコミ…
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早川いくを(著作家・書籍デザイナー)
3月×日 幼い息子が「8時だョ! 全員集合」のDVDを見て、爆笑している。這いつくばって手で床をバンバンと叩く息子。この動作は実在したんだ。「バナナの皮で転ぶ人」を実際に見た気分だ。私は写真を撮った。…
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道尾秀介(作家)
3月×日 3月の1ヶ月間、毎週月曜日の夜にニッポン放送で「道尾秀介の1UP(わんなっぷ)ライフ」というラジオ番組をやらせてもらっている。ゲスト回では漫画家でアニメーション作家の藍にいなさんを招いて、い…
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乾ルカ(作家)
3月×日 今日もスマホに入れるゲームが見つからない。私の好みは「Myst」シリーズのようなアドベンチャーである。冒険心が満たされる世界観の中で、フェアな謎解きがしたい。 ゲームはさておき、柄刀…
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門井慶喜(作家)
3月×日 作家になって、直木賞をもらって、いろいろ出版社から本を送ってもらうようになったけれど、それでもやっぱり自分で見つけて買いに行くのは格別にたのしい。最近は高橋繁行著「土葬の村」(講談社 100…
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澤田瞳子(作家)
2月×日 10年あまり通っている美容院が閉店し、隣県・大阪に移るという。理由は系列他店舗との合併らしいが、人見知りの私にとって、新しい美容院の開拓は非常にハードルが高い。いっそ大阪まで通うかと思うもの…
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本城雅人(作家)
2月×日 奥田英朗さんの「コロナと潜水服」(光文社 1500円+税)を読む。もうコロナが小説に反映されているのかと感心しながら、ウイットとユーモア溢れる内容に自粛中の鬱屈さも晴れた。5話からなるあるテ…
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岩井三四二(作家)
2月X日 連日のゲラ直しで頭の中が戦国時代になったので、現代にもどろうと東野圭吾著「ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人」(光文社 1800円+税)を手にする。探偵役は物理学者ではなくマジシャン。殺…
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風野真知雄(作家)
2月×日 子どもの頃から、死にたくないという気持ちが強く、どうやって恐怖を乗り越えようかと、始終考えてきた。中年以降は、諸行無常を痛感したうえでの諦観と、それに甘さを加えるセンチメンタリズムと、このあ…
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荻原浩(作家)
1月×日 下山進著「アルツハイマー征服」(KADOKAWA 1800円+税)を読む。百余年前のアルツハイマー病の発見から、その研究、治療法や薬の開発が現在までにいかにして進められてきたかを多分野の人々…
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奥野修司(ノンフィクション作家)
1月×日 最近、若い人たちに会うと違和感を覚えることがよくある。例えば、打ち合わせの席でテーブルに置いたスマホをチラチラ見るのもそうだ。会話は成り立つのに、心ここにあらずで、落ち着かない。それがアンデ…